NTTドコモと自動運転ベンチャー企業である未来シェアが共同で人工知能(AI)を活用したバスを開発することを明らかにしました。
2017年1月24日の記事で未来シェアを紹介しましたが、NTTドコモと共同で開発することで、両社のシナジーを活かしたサービス展開に期待できる他、実用化が進めば、過疎地を中心に交通空白地帯の解消など、交通問題の解決に期待できます。
AIを活用しバス運行ルートの最適化し運行効率を高める
今回、NTTドコモと未来シェアが共同で開発するバスは、AIを活用し、携帯電話や位置情報などから人の動きを予測し路線バスの運行ルートを最適化します。
従来の路線バスはあらかじめ決められたルートを走行しますが、過疎地域など人口が少ない場所などでは、時間帯など需要に合わせたダイヤを作成するものの、利用客が十分に確保出来ず、赤字路線として運行維持が厳しい路線が多く存在しています。
赤字路線の大半は、自治体の補助により運行を維持しているケースは多いものの、それでも十分に採算を確保出来ない場合は、廃止せざる得ない状況となり、自家用車を持たない高齢者などの足が途絶えてしまうことにつながります。
この様に、過疎地域など人口が少ない地域において、運行を確保してバスを必要としている方が安心して利用できるためにも、今回の様にAIを活用して需要を予測してバスを運行することは、燃料や収益の効率化、交通弱者問題の解決の切り口として注目されています。
両社の技術を組み合わせ2018年を目処に実用化へ
AIを活用したバスを開発するにあたり、ドコモが開発しているAIによる予測技術と未来シェアが開発している配車システムを組み合わせることで、バス路線の運行を効率化していきます。
未来シェアは、2017年1月24日付の記事で紹介していますが、需要に基いて運行ルートを決定する「Smart Access Vehicle(SAV」)の社会普及を目指して実証実験を行っています。
また、NTTドコモは、既存の通信技術を活用した交通サービスの開発を進めており、今回のAIを活用したバスの他、利用者のスマートフォンなどからパーソナル情報をビッグデータとして匿名で取得し、天候などと組み合わせてタクシー需要をAIで予測して供給するシステムや有料駐車場の予約や支払いをスマートフォンで完結できるサービスの開発を進めています。
NTTドコモは、携帯電話やスマートフォンを中心とした通信サービスから領域を広げ、需要が高い交通向けのIoTサービスに領域を広げることで、IoT関連の売上高を1000億円規模に拡大していきたいとしています。
今回、両社が共同で開発をすることで、未来シェアはNTTドコモが保有しているネットワークインフラを活用できる他、北海道地域で実証実験を行っていた状況から、全国展開できる規模まで拡大に繋げることにも期待できる他、実用化に向けた開発スピードが上がることに期待できます。
年内には旅行会社やタクシー会社とも実証実験を開始したいとしており、早くても2018年を目処に実用化につなげたいとしています。