日本銀行(日銀)札幌支店は、2019年9月度の企業短期経済観測調査(短観)の調査結果を発表しました。今期は全産業において景況判断指数(DI)がプラス12となり、前回の6月度の調査に比べ4ポイント改善しました。2019年3月度から2期連続で改善しました。
景況判断指数(DI)はプラス12ポイントと2期連続改善
日銀札幌支店は、2019年8月27日から9月30日までの間に、道内企業460社に対して景況感をに関する企業短期経済観測調査(短観)を実施しました。今回調査した企業数460社のうち、製造業が112社、非製造業が348社の回答が得られました。
景況判断指数(DI)は、景況感が「良い」と回答した数の割合から「悪い」と回答した割合を差し引いて求めます。
2019年9月度は、全産業においてプラス12ポイントとなりました。2019年7月2日の記事でも紹介しましたが、2019年6月期はプラス8ポイントであり、前期に比べ4ポイント改善しました。
2019年で見ると米中貿易摩擦の激化などで景気悪化が懸念されたことから2019年3月度が4ポイントまで落ち込みましたが、今期の結果より2期連続で改善となりました。
製造業の景況判断指数(DI)はプラス6ポイントと5ポイント改善
製造業112社に絞った2019年9月期の景況判断指数(DI)は、プラス6ポイントとなり、前回の2019年6月期の1ポイントに比べ5ポイント改善しました。
米中貿易摩擦の激化などによる景気減速の懸念から、受注の落ち込みなどが目立ったこともあり控えめな回答をする企業が目立ちましたが、今期は、貿易摩擦の影響について引き続き懸念はされるものの、輸送用機械や電気機械が15ポイント以上の上昇が目立ったことから、人手不足による省人化へのニーズが高まっていることから受注も増えているものと考えられます。
一方で木材や木製品、窯業、土石製品では、前記に比べ8ポイント以上マイナスとなりました。昨年発生した地震への災害復旧需要や2020年の東京五輪への需要が一段落しつつあることも要因として考えられそうです。
非製造業の景況判断指数(DI)はプラス13ポイントと2ポイント改善
非製造業348社を対象とした2019年9月期の景況判断指数(DI)は、プラス13ポイントと前記に比べ2ポイント改善しました。
特に改善が目立ったのは小売業で、今期は0ポイントではありましたが、前記に比べ10ポイント改善となりました。2019年10月より消費税率が10%になるのを目の前に駆け込み需要が増えたことも景況感が改善した要因として考えられます。
一方で、物品賃貸業についてはプラス16ポイントと前記に比べ17ポイント落ち込みました。要因としては、災害への復旧需要が一段落したことで機械や建機を借りる需要が鈍ったことなども考えられます。ただし、道内では北海道新幹線の札幌延長を目の前に再開発も進んでおり、指数としては堅調となっています。
また、情報通信業や宿泊飲食サービスなどサービス業を中心に前記より僅かながら前記に比べ減少が目立っており、後述の通り、人手不足の影響度も増していることが考えられます。
雇用人員判断DIはマイナス43ポイントと前記より1ポイント悪化
雇用人員判断(DI)は、全産業においてマイナス43ポイントとなり、前期に比べ1ポイント悪化しました。製造業はマイナス33ポイントと前期に比べ2ポイントマイナス、非製造業はマイナス47ポイントと前期に比べ3ポイントマイナスとなっています。
また、当日に発表された2019年8月度の道内の有効求人倍率も1.22倍となっており、前期に比べ0.04ポイント増えていることからも、人手を求めている企業は多く、依然として人手不足が続いていることが伺えます。