函館市など道南地域を中心に、訪日外国人観光客向けに体験型観光サービスを提供する動きが広がっています。今までは旅行といえば「買い物」が代表されるイベントの1つでもありましたが、今では「買い物」から「体験」へとシフトしており、旅行先で現地ならではの体験を行うことが旅行の楽しみになりつつあります。
外国人観光客は「買い物」から「体験」へシフト
日本においても、アベノミクスによる景気政策により為替が円安に推移するなどで訪日外国人が増加傾向にあります。2017年5月30日の記事で記載しましたが、函館市の2016年度における観光客数は560万人と過去最高となっており、外国人観光客数も約40万5000人と、前年度に比べて1.9%増加しました。
外国人観光客が増えている中、中国人観光客を中心に旅行先で多くの買い物を行う「爆買い」という言葉が流行ったように、買い物を楽しむ方が多かった状況から一転し、近年では「体験型」へとシフトしていきています。
体験型にシフトしている背景としては、買い物が一段落したことに加え、再度訪日するリピーターが一定数いるものと考えられることから、旅行に対する更なる質の向上を求めていることがありそうです。
訪日外国人観光客のカップル向けに結婚サービスを提供
体験型の需要が増えている中で、観光サービス産業もこれらのニーズを取り込む動きを広げています。金森商船と五島軒ホテル、函館市の旅行会社などで構成する「函館ブライダル・ロケーションフォト協議会」は、中国や台湾から来る観光客をターゲットに結婚式サービスの提供をはじめました。
この結婚式サービスは、旧松前藩の婚儀を再現したもので、西洋のウエディングドレスを着用した結婚式ではなく、日本式の結婚式を実際に体験してもらうサービスです。
函館空港で和服レンタルサービス
函館空港では、和服のレンタルサービスを始めています。女性であれば色打掛や振り袖、男性であれば羽織や袴をレンタルして着用できます。
レンタルは40分間など短時間での利用のみで、現在のところ日本滞在期間中に長期間借りることはできず、あくまでも空港施設内で短時間で利用を想定しています。料金は40分間で女性が3,000円、男性が2,000円と手頃な価格で体験できます。
和服のレンタルサービスは、1日5組程の利用があるとのことで、今後も更なるニーズがあるとしており、ツアーなどにも組み込んでいきたいとしています。
道南いさりび鉄道が台湾人向けに観光列車で地元の食材を体験できるツアーを開催
第三セクター鉄道の道南いさりび鉄道は、台湾人観光客向けに観光列車で地元で取れた食材を体験できるツアーを開催しています。
同社では、北海道新幹線の開業に伴い、JRから分離し五稜郭から木古内間の区間を「道南いさりび鉄道」として運行しています。同区間においてJR北海道が保有していたキハ40形を譲り受けて改装した上で、地域情報発信列車(観光列車)「ながまれ号」として運行しています。
ながまれ号は、道南地域の方言である「ゆっくりして」という意味である「ながまれ」をキーワードに、ゆっくりと観光や食事など列車の旅を楽しめるコンセプトとなっています。