2016年3月26日に念願の北海道新幹線が開業して今年で1年となりました。北海道新幹線が開業したことで、函館を中心に道南地域で観光客が増加するなど、経済効果も見えてきています。
そんな中、北海道銀行グループの経済調査会社である「株式会社道銀地域総合研究所」では、道南地域を対象に北海道新幹線による経済波及効果を算出するにあたり、函館市役所をはじめ、観光施設などにヒアリングを行うなどして調査を行いました。
道南地域への観光客数は908万人で2004年度以降最大を記録
道銀地域総合研究所が公開した調査ニュース4月号によると、2016年3月26日から2017年1月までの平均利用実績は1日あたり約6700人で乗車率は40%となり、当初JR北海道が想定していた1日あたりの乗車数5000人を上回りました。北海道新幹線を利用して来道した人数は209万人となりました。
道南地域における観光客の訪問数は908万人で2004年度以降、最大の人数になりました。その内、道内からの観光客は494万人で前年と比べ12.2%増加、道外からの観光客は414万人と前年に比べて21.5%増加となり、首都圏などから北海道新幹線を利用して訪れた方が増えたことがわかります。
宿泊者数や観光施設の利用者数も増加
北海道新幹線開業により、宿泊者数や観光施設の利用者数も増加しました。函館市を含む道南地域における2016年4月から2017年1月までの期間における宿泊施設の利用者数は256.7万人となり、前年と比べて14%増加 しています。
特に、函館市内の宿泊施設では、需要が増加する夏期においては想定した数を上回る宿泊があったことから、多くの宿泊施設で満室状態が続いた他、人手が不足し宿泊客の受け入れをお断りしたケースもあったということです。
函館の人気観光スポットである「五稜郭タワー」の利用者数は、92.6万人となり前年と比べて33%増加しました。また、函館の夜景が楽しむことができる函館山を結んでいる「函館ロープウェイ」の利用者数は166.6万人となり、前年比11%増加しました。
道内への経済波及効果は約200億円で雇用も増加!
実際の経済波及効果を、宿泊者などの消費により得られる金額である「直接効果」と、食品や土産などの生産により得られた効果「一次波及効果」、直接効果と一次波及効果によって労働者所得が増加したことで生産による効果「二次波及効果」に分けて調査を行いました。
直接効果は116億円となったことに加え、一次波及効果は道南地域では約30億円でその他の地域では約17億円となりと合計で47億円となりました。直接効果と一次波及効果を合計すると約164億円となりました。一方、二次波及効果は、道南地域では約23億円、その他の地域で12億円となり合計で35億円となりました。
直接効果と一次波及効果、二次波及効果を全て合計すると約200億円近い効果が得られたことがわかります。さらに、観光関連などで雇用者を誘発した数は約1709人となりました。その内、道南地域においては1527人の雇用が増加しています。
今後は、この波及効果を道内全体に行き渡るための施策検討する必要があるとしており、2017年1月21日で記載した「ひがし北海道フリーパス」の様な施策を強化するなど、自治体と民間で道内に分散させて消費を活性化させる施策を検討する必要がありそうです。