不動産を複数の投資家から資金を集めて購入する投資信託である不動産投資信託(REIT)において、道内の不動産物件への投資が加速しています。特にホテルを中心に取得する動きが目立っており、2019年1月から7月における投資額は409億円と過去最高額となるとしています。
2019年1~7月にかけてREITが道内物件に409億円投資
不動産投資信託(REIT)が、2019年1~7月にかけて、道内の不動産物件への投資を加速しています。2019年8月19日付けの日本経済新聞の記事において、不動産証券化協会のデータによると公募REITによる道内の不動産物件の取得金額は409億円となり、過去最高額となったことを明らかにしています。
不動産投資信託(REIT)とは、複数の投資家から資金を集めて不動産を購入し、購入した不動産から得た賃料収入や売却益など配当金として分配する投資商品です。投資法人が株式市場などを通じて資金を調達を行うことができます。通常の株式投資とは異なり、得られた収益の9割を配当金として支払われるため、高い利回りが得られるのも特徴です。
REITでは、オフィスビルの他、ホテルや旅館といった宿泊施設、複数の専門店が入居する複合型商業施設、物流施設、集合住宅、老人ホームなど様々な不動産が投資対象となっており、1棟もしくは一部を取得して運用を行います。
訪日客増加が追い風となりホテル物件を中心に取得広がる
道内においてREITが取得対象としている物件としてはホテルが中心となっています。背景としては、当サイトでも何度も取り上げている通り、外国人観光客の増加に伴い、宿泊施設の需要が増えていることから、将来的に渡り高い利回りが確保しやすいということにあります。
日本政府としても訪日外国人観光客数を2020年までに6000万人を目標としています。また、2018年8月23日の記事でお伝えしたとおり、新千歳空港の発着枠の拡大に加え、道内の各自治体においても訪日客の呼び込みに力を入るなど外国人観光客も2017年度には1500万人を超えています。
さらに、道内に宿泊施設を建設する動きが相次いでおり、首都圏の駅前を中心に大型量販店を展開しているヨドバシカメラは札幌駅前の旧西武百貨店跡地に家電量販店に加えホテルを建設する計画です。また、京王電鉄が札幌駅前に京王プレリアホテル札幌の開業に向けて準備を進めています。
東証REIT指数は2,000台を突破!株価低迷で代替投資としても魅力高まる
REITは、近年米中貿易摩擦の影響で世界経済の減速が懸念されている中で株価が低迷している中、貿易摩擦の直接的な影響を受けにくいとして、REITへの投資が注目されており、投資マネーが集まっています。
東京証券取引所に上場している複数の不動産投資信託の値動きを指数化した東証REIT指数は2,000ポイントを超えており、過去5年間で最高値を更新しています。
道内の地方銀行や信用金庫において、運用先としてREITを買い増す動きがある他、JR北海道においても500億円規模のREITを運用しているとしており、国内の不動産需要が増えていることに加え、マネーが不動産に集まっており、価格の上昇が加速している状況となっています。