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農業ベンチャー「農業総研」が道産農産物を収穫翌日に首都圏で販売する事業に着手2017.01.13(金)

農業ベンチャー企業である「農業総合研究所」は、道内で収穫した農産物を翌日に首都圏のスーパーマーケットなど小売店の店頭で販売する新事業をはじめることを明らかにしています。

アベノミクスが掲げる「農業改革」の一環として注目されている農業総研は、農業経営を効率化をおこない、稼げる農業を目指します。

航空便を使い首都圏に最短で輸送

今回、農業ベンチャーの農業総研が着手する、道産の農産物を収穫した翌日に首都圏で販売する事業は、航空便の空きスペースを利用して、首都圏に輸送することで、従来であれば収穫して最短で2日要していたのを収穫後翌日に店頭販売できるようにします。

道内で収穫した農産物は、北海道の空の玄関口である新千歳空港に集めます。その後、航空便の貨物の空きスペースを活用し、羽田空港もしくは成田空港へ輸送します。

航空便を利用することでどうしても流通費が高くなるため、道外への小売価格に出荷手数料として10%程度にする方針としていますが、道内で生産される農産物は本州などと比較し安いことから、出荷手数料を加味しても小売店での販売価格に大きな差が発生しないとしています。

時間短縮が可能になり出荷できる農産物の裾野が拡大

道内から本州へ出荷される農産物の多くは、これまで収穫してから2日以上の時間を要していたため、じゃがいもやにんじん、玉ねぎ、かぼちゃなど日持ちする農産物が多くを占めていました。

今までも、いちごやさくらんぼなどは航空便を活用して首都圏へ輸送する仕組みはありましたが、今回の農業総研が本格的に事業を着手すれば、鮮度が求められるトマトやきゅうり、とうもろこし、ブロッコリーなど出荷できる農産物の裾野が広がりそうです。

道内農業の活性化とアベノミクスが掲げる農業改革の後押しに期待

生産者が出荷できる農産物の選択肢が広がると共に、大量に店頭で販売することができるため、航空便での出荷が定着することで、生産力が向上する他、収益も多く得られることに期待できることから、道内農業の活性化につながることに期待できます。

農業総研は、首都圏や関西圏、中京圏などの都市圏で大手スーパーマーケットの店頭で「農家の直売所」を運営しており、全国の契約農家から直接農産物を提携しているスーパーマーケットに販売します。そのため、生産者は農業総研を通じて、農産物を販売することで、農業総研とスーパーマーケットなど小売店に支払う手数料を差し引いても6割程の手取り収入になります。

従来は収穫した農産物はJA(農協)や仲卸などを通じて、スーパーマーケットなどの店頭に販売されることが一般的で生産者の手取り収入は3割程とされています。アベノミクスが掲げる「農業改革」では、JA農業の役割が高い農業市場に民間企業を参入させることで、農業経営を効率化し生産性を向上させることで企業と生産者ともに収益を稼ぐことができる農業を目指します。

農業総研の取り組みは、日本における農業市場と農業経営を大きく変えることに期待できることから、「農業改革」への後押しとしても注目したいところです。

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