北海道労働局が2017年10月27日に2017年9月度の道内における有効求人倍率を発表しました。発表内容によると道内の有効求人倍率は1.15倍となり過去最高を記録しました。ただし、有効求人倍率は伸びるものの、道内企業では人手不足による影響も出始めており、人手確保に苦労する企業も増えています。
2017年9月の有効求人倍率は1.15倍と過去最高に!
道内有効求人倍率推移(北海道労働局の情報を元に筆者作成)
北海道労働局が発表した、道内の有効求人倍率は1.15倍となり過去最高を記録しました。前年同期は1.10倍だったことから、この1年で0.05倍伸びています。
正社員に限定すると、有効求人倍率は0.77倍となり、前年同期に比べ0.07ポイント上回りました。また、企業が人を募集する「新規求人数」についても3%増加しました。
建設業や医療福祉関連の求人が増加
業種ごとの求人数(北海道労働局の情報を元に筆者作成)
今回の有効求人倍率を牽引したのは、建設業や医療福祉関連の求人が増加していることが背景としてありそうです。
2017年9月度の求人数の大きな伸びが目立ったのは、医療福祉関連で求人数は9,923人で12%増加しました。続いて、建設業が3,321人で112.1%増加、宿泊・飲食サービス業で3,337人で6.9%増加、運輸業で1,664人で5.3%増加となっています。
医療福祉については、高齢化の加速などで求人の需要が増えている他、建設業では、2016年夏の台風被害による復興需要などが求人数を牽引しているとしています。また、2017年10月10日に記載した業況判断指数(DI)も建設業は「プラス27」となっていることから引き合いが強く、人材のニーズも高まっていることが考えられます。
人手不足と感じる道内企業は68%
有効求人倍率が伸びていることから労働者にとっては良好な雇用環境になりつつありますが、企業にとっては人手の確保が困難な状況となっています。
2017年10月26日に北洋銀行が実施した道内企業の雇用の現状と人手不足対応についての調査によると、人手不足と感じている企業は68%になったことを明らかにしています。
北洋銀行が実施した調査は雇用人員が過剰と感じる数値から不足と感じる数値を差し引いた「雇用人員判断(DI)」で、今回の調査では「マイナス66」となり、前年同期と比べ12ポイントマイナスとなっています。
特に、製造業がマイナス56、非製造業がマイナス70となっており、非製造業の中でも今回有効求人倍率高めとなった、建設業や宿泊業、運輸業などが上位にランクインされていました。
有効求人倍率が伸びる中で人手不足と感じる企業も増えています。十分な人手を確保するためには、既存業務のやり方を見直して業務の効率化を進めること、中途採用の強化、外国人労働者の活用など、今まで企業が行っていた雇用習慣に縛られない方法を模索していく必要があると言えます。