地中熱を利用した冷暖房システムを提供している札幌市のアリガグループが、2016年3月1日から初期投資ゼロで導入できる地中熱エネルギーシステム「ESCO事業」を開始しました。
これまで地中熱エネルギーシステムを導入するにあたってはボーリング費用などの初期投資額がネックとなっていましたが、光熱費の削減分から支払うESCO事業として契約していくことによって、導入ハードルが大幅に下がっていきそうです。
ESCO事業とは
地中熱エネルギーの仕組み(筆者作成)
ESCO事業とは、Energy Service Companyの略称であり、設備改修を含めた省エネルギーに関する包括的なサービスを実施し、光熱費の削減分などの省エネルギー効果から報酬を受け取るビジネスモデルです。
利用者側は初期投資額を抑えた上で省エネルギー化に向けた設備改修をすることが可能となり、また、ESCO事業の契約終了後は光熱費削減のメリットをそのまま享受することができます。
ランニングコストが安くかつ安定してエネルギーの供給が可能
灯油暖房機と地中熱のコスト比較(筆者作成)
地中熱を利用した冷暖房システムは、年間を通して温度が安定している地中熱をヒートポンプによって汲み上げ交換していくもので、通常のエアコンなどの冷暖房システムと比較してランニングコストが低いと言われています。
地中熱利用促進協会が東京都心のオフィスビルを地中熱ヒートポンプに更新した場合の電力消費量を試算していますが、年間で49%の削減効果が期待できます。また、風力や太陽光などの再生可能エネルギーと比べて天候に左右されることがないため、安定的な熱供給源としても注目を集めています。
初期投資額ゼロで導入可能
省エネ、節電効果が高く安定性もある地中熱エネルギーシステムですが、導入にはボーリング工事が必要となるため、初期投資額が大きいという難点がありました。
アリガグループでは、地中熱エネルギーシステム導入のハードルを下げるために、初期投資ゼロとなるESCO事業形式でのサービス提供を始めました。
ESCO事業の更なる拡大に期待
ESCO事業は、初期投資額を抑えた上で建物の省エネルギー化を実現できるため、自治体を含め導入が進んでいます。
例えば、札幌市では、市民と事業者へのESCO事業普及を目指していくために市自身が率先的に取り組んでいます。平成17年には、市立札幌病院で道内の自治体として初めてESCO事業を導入して話題を呼びました。
同社では、これまでもコープさっぽろ倶知安店、上富良野小学校などで地中熱ヒートポンプ導入の実績を積み重ねてきましたが、今回のESCO事業開始によって更なる導入拡大が期待できます。