2016年12月15日に予定されている安倍首相とロシアのプーチン大統領と首脳会談により、日本とロシアとの間で経済関係の強化への期待が高まっています。
特に、北海道は地理的にもロシアと近いこともあり、寒冷地という気候条件を活かした技術やノウハウの提供など、日本国内にとどまらず更なるビジネスチャンスを得ようと動き出している道内企業があります。
北海道総合商事が大規模野菜工場を建設
北海道総合商事は、極東ロシアのヤクーツク市において、大規模な野菜工場を建設する計画を明らかにしています。野菜工場では、道内の農業で培った寒冷地向けの生産技術をロシアに提供し、トマトやきゅうりなどの栽培を始めます。
北海道総合商事は、2016年1月29日付の記事で紹介したように、北海道銀行を中心に道内企業が出資して設立された企業で、極東ロシアの進出を目指す企業のビジネスを後押しします。
ロシア極東地域は、メディアで取り上げられる機会が少なく、空路や航路などが限られていることもありイメージしづらい地域となっていますが、現在では中間所得層が増加するなど、経済発展の可能性が大いにあります。
また、ロシアでは、冬期に野菜不足の課題を解決するために野菜工場の建設を進めています。
ホッコウは寒冷地での農業技術やノウハウを提供
今回、極東ロシアに野菜工場を建設するにあたり、協力するホッコウ(札幌市中央区)は、寒冷地向けのハウスの提供や生産技術やノウハウを提供します。
同社では、寒冷地向けに開発した、壁や天井のフィルムを2重にすることで、フィルムとフィルムの間にある空気が断熱材の役割を果たす仕組みを編み出しました。この手法を使い、ハウス内で寒さが厳しい冬期でも野菜の生産が可能になります。
越浦パイプは寒冷地用ビニールハウスを提供
野菜の生産に必要となるビニールハウスを個別の農家に提供する動きもあります。越浦パイプ(札幌市西区)は、寒冷地向けに保温性を高めたビニールハウスをサハリン州を中心に提供しています。
同社では、サハリン州の関係者に営業を兼ねて寒冷地向けのハウスを無償で2等提供したところ、従来のハウスで60日要していたきゅうりの生産が、同社のハウスでは45日でできたことや、光の透過率が高いで暖房費が削減できることなどが評価され、州政府から3棟の受注を獲得しました。
更に、現在では20棟分のフィルムの受注にむけた交渉が行われており、同社はロシアへの販路をさらに拡大できそうです。