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夕張市、炭層メタンの試掘を開始。エネルギー供給で地域活性化へ!2016.09.16(金)

夕張市は2016年9月15日に、市内に存在する石炭層に含まれているメタンガスである「炭層メタン」の試掘を開始することを明らかにしています。

10年前に財政破綻をして以来、財務体質改善が急がれる中、炭層メタンを活用して市や周辺地域の経済活性化を後押し、安定的な収益源の確保につとめていく方針です。

炭層メタンとは?

炭層メタンとは、石炭層から採取ができるガスの一種で、成分としてはメタンが含まれています。

近年では、天然ガスの価格が上昇してきていることから、炭層メタンの活用が着目されてきており、熱量が高いことから安価なエネルギー源としても期待が高まっています。

エネルギー源が石炭から石油へと変わったことにより、日本全国の炭鉱が廃坑となりましたが、これらの多くの炭鉱において炭層メタンが多く存在すると考えられており、廃坑となった炭鉱を炭層メタンの採掘で再び活用する動きも増えていきそうです。

夕張市の2016年現在の財政状況は依然として厳しい

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10年前に財政破綻した夕張市ですが、2016年現在の財政状況は依然として厳しい状況が続いてます。

健全化判断比率の指標として「実質公債比率」は全国的な健全基準として25%が目安となっていますが、夕張市の平成27年度の決済では、76.3%となっています。この比率が高くなればなるほど、経費を削減しなければ予算を組めない状況で資金ぶりの危険度が増加します。

また、赤字額や地方債、債務負担など現時点で想定されている将来負担すべき残高を指標化した「将来負荷比率」は、健全基準としては350%ですが、夕張市はそれの約2倍となる634%となっており、財政の健全化には、さらなる時間がかかる見通しです。

コンパクトシティの構築を目指しエネルギーを安価に供給

今回、夕張市が炭層メタンの試掘を行うことで、日本国内では初の試みとなります。また、試掘により資源量を確認しエネルギーの供給源として十分かを検証します。

夕張市では、多くの炭鉱が存在していた事に加え、未採掘の石炭層が多く残っていることから、市内全体のエネルギー消費量の1000年分の炭層メタンが存在するのではないかと予想されています。そのため、炭層メタンが大量に存在していた場合、資源を供給することで、収益源を安定的に確保できることに期待ができます。

発掘した炭層メタンは、夕張市が目指すコンパクトシティ構築に向けた取り組みの一環としてエネルギー源として活用する方針です。炭層メタンを発電を行う際の燃料として利用することで、市内の農家や住民に割安に電気を供給していく他、割安なエネルギーを売りに、企業誘致につなげていき、地域経済の活性化を目指し、財政状況の改善に努めていく狙いです。

今回の試掘には、およそ2億3000万円の費用が発生することから、1億円は国からの補助を活用し、残りは2016年5月6日の記事で紹介したニトリホールディングスからの寄付金を利用する方針です。

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