JR北海道は2019年度の事業計画を発表しました。同社は経営の立て直しを図るべく収益の多角化を急いでいますが、2019年度においては乗客が支払う乗車賃を7%前後値上げする他、国や知事体からの財政支援、不動産開発による非鉄道事業からの収益を増やすなどして、最終損益を1億円程度にする方針を明らかにしています。
2019年度の最終損益は1億円を見込む
JR北海道が発表した2019年度の事業計画は最終損益が1億円の赤字を見込むとしています。2018年度の最終損益は209億円の赤字で、今期で大幅に赤字額を削減することになります。
昨年の2018年度における売上高は884億円でそのうち鉄道収入は712億円、営業損益は520億円の赤字となっています。2019年度には売上高を919億円、そのうち鉄道収入は748億円、営業損益は479億円の赤字を目指します。
詳しくは、後述していますが、乗車賃の値上げの他、国や自治体からの財政支援、不動産といった非鉄道事業からの収入を増やすなど、収益を多角化することで、まずは赤字額を大幅に削減することから始めることになります。
安全・設備投資は81億円増、鉄道収入は36億円増
2019年度における安全投資と設備投資の予定総額は81億円増の377億円を目指します。経営状況が厳しい中、鉄道事業で一番重要となる安全・設備投資に充当する資金が乏しくなった場合、安全性の確保が難しくなり、長期的な収益確保が難しくなります。
はじめに、青函トンネルの改修工事にあたって、国から受ける支援金を充当する方針です。また、先行的な技術開発費用や既存システムの更新など、経営に体質に左右される費用については56億円増やし、73億円とする方針です。
乗客が支払う運賃を7%前後値上げを実施
JR北海道では2019年10月度の消費税増税に合わせて乗客が支払う運賃を7%前後値上げすることも明らかにしています。JR北海道の経営再建は、我々道民にも影響を及ぼすこととなり、JR北海道だけではなく、道民の理解を得ることも重要となります。
値上げは、国鉄から民営化して1996年に値上げして以来、2回目となります。今回の値上げにより約40億円の増収を見込みます。
同社では、北海道新幹線が2031年頃に予定している札幌延伸までに、最終損益の黒字を目指しています。また、2018年11月20日の記事でも記載したとおり、新幹線の速度アップを実施するなどサービス面の向上も行い、乗客の確保につとめていきます。
国や自治体から2年間で400億円程度の財政支援を受ける
JR北海道は経営再建にあたり、国や自治体から2年間で約400億円の財政支援を受けることになります。国はJR北海道が2020年度までにコスト削減や収益多角化などで着実に成果が出るような経営体制の構築を求めます。
また、不採算路線などの維持についても自治体から支援を受け入れ、運行を維持します。ただし、不採算路線の維持については、経営再建の足かせにつながることから、単純な支援だけではなく、地域住民に鉄道の利用を促すことや、地域イベントの開催で鉄道利用を増やす機会を作るなど、鉄道利用を維持、増やす取り組みも重要となってきそうです。