次世代の交通手段として高いポテンシャルを秘める電気自動車ですが、暖房使用時の航続距離、低温時のバッテリー性能などの課題があり、北海道をはじめとする北国ではなかなか普及が進まなかったところです。このような中で、北海道企業が開発した寒冷地仕様の電気自動車に注目が集まっています。
北国特有の電気自動車の課題を解決
北国で電気自動車を普及させていく上で最大のネックになるのが、冬の寒さです。
特に電気自動車のバッテリーは気温が低くなるほどに性能が低下していくため、充電時間が短くなり航続距離も限られてしまうのです。また、車内の暖房についても、ガソリン車の場合はエンジンの廃熱を利用できますが、電気自動車の場合は電気ヒーターで暖房を行う必要があり、これもバッテリー電力消費につながってしまいます。
このような北国特有の電気自動車の課題解決に向けて動き出したのが、西野製作所(室蘭市)、倉本鉄工所(北見市)、コスモメカニクス(旭川市)、光源舎オートプロダクツ(北広島市)、ファシオネ(札幌市)、福地建装(北斗市)、Will-E(札幌市)、カーポイントビック(札幌市)からなる道内企業チームです。
研究開発を進め、1月に開催された札幌モータショー2016には試作車を公開しました。試作車には、住宅にも使われる断熱材を使用して暖房効率を高めているほか、車体底部には氷や雪がつかない加工を施しています。また、路面状況が悪い雪道に対応するため、前輪と後輪の回転のバランスを調整する機能も搭載しています。
この試作車開発によって培われたノウハウによって、北海道内での電気自動車普及が大きく進むことが期待されます。
ガソリン価格が高い地域での活用が見込める
電気自動車の最大の特徴であり、メリットでもあるのがガソリンを使わないという点です。
広大な大地を有する北海道にとって、自動車は移動手段として必要不可欠な存在です。一方で、内陸部や離島部では、流通コストの関係からガソリン価格が高くなってしまう傾向にあります。
電気自動車は、このようなガソリン価格が高い地域にとってガソリン車に代わる手頃な移動手段になるとも言われています。また、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い北海道にはメガソーラーや風力発電所の建設も進んでおり、電気の一大生産地としての側面も生まれています。
ガソリンのように為替や産油国の事情に左右されることが少ないため、将来的には、再生可能エネルギーで発電した電気を自動車の動力源として活用するといった電気の地産地消・燃料コスト削減も期待できそうです。