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時代に合わせた商品開発が進む北海道工芸品産業の状況2015.12.12(土)

北海道のお土産品といえば食品のイメージが強いですが、国の伝統的工芸品にも指定されている二風谷アットゥシをはじめとして、魅力な民芸品・工芸品も数多く存在します。最近では、時代に合わせた新しい商品開発の動きも出始めています。2016年春の北海道新幹線開業により観光客増加が見込まれる中、注目が高まる道内の工芸品産業の新しい取り組みをご紹介します。

デニムブランドと二風谷アットゥシのコラボ

オヒョウなどの樹皮の内皮から作った糸で織られた伝統的な織物である「二風谷アットゥシ」は2013年に国から伝統的工芸品に指定されました。
 
伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく指定であり、その指定要件は「100年以上の歴史を有し、今日までしている継続伝統的な技術・技法により製造されるもの」などの厳しいものとなっています。
 
2015年秋には、岡山県のデニムブランドであるKAPITAL Legs Roppongi Hillsとコラボした「タータンアイヌマフラー」が発表されました。イギリスの伝統的なタータンチェック柄とアイヌ民族の伝統的な幾何学模様を組み合わせたものであり、デザイン・機能性に優れた逸品となっています。

変わり熊の製作に着手

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北海道土産の代名詞である木彫りの熊の歴史は古く、尾張徳川家の当主であった徳川義親が欧州旅行時に見かけたスイスの木彫り熊がきっかけと伝えられています。1923年(大正12年)には、尾張藩士が入植した八雲の「徳川農場」近辺で木彫り熊の製作が行われるようになり、翌年の1924年に開催された第1回八雲農村美術工芸品評会にも出品されました。
 
農場で働く農民の冬季の収入源として積極的に製作され、昭和初期には年間5000体が製作されたとのことです。旭川市でも1926年から製作が開始され、現在も旭川木彫工芸品協会に所属する職人たちによってその伝統が今日まで引き継がれています。
 
2015年11月には、兵庫県三木市で開催されたプロテニス大会のチャリティーオークション用にテニスラケットを持った熊などの変わり熊製作にも取り組みました。変わり熊の製作ははじめてとのことであり、これをきっかけに新たな題材にも挑戦していく方針を掲げています。

小樽硝子の魅力広がる

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小樽市は硝子細工の町として知られ、多くの硝子作家が集積しています。技巧に優れた小樽硝子は多くの観光客からの認知度も高く、完成した作品だけではなく製作体験も人気となっています。
 
2015年10月28日から11月1日にかけて開催された「小樽硝子アート展2015」では、作品の展示に加えて、小樽硝子工芸の第一人者である浅原千代治氏による「小樽の硝子のいままでとこれから」と題した講演と若手職人とのパネルディスカッションが行われました。今後も小樽硝子の更なる可能性と魅力が広がっていきそうです。

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