日本銀行(日銀)札幌支店は、2019年2月22日に開催した2月の金融経済概況において、北海道の景気に対する見通しを上方修正を行い「穏やかに回復している」との見通しを明らかにしました。
昨年は9月に地震が発生するなど、一時的に外国人観光客などの来道客数が減少しましたが、2018年12月11日に記載したとおり、来道客数も回復傾向にあるなど、着々と景気回復に向けて動き出していることがわかります。
2月度金融経済概況において道内の景気判断を上方修正
日銀札幌支店は22日に開催した2月度の金融経済概況において、道内の景気判断について「穏やかに回復している」と評価しています。
2018年12月度と2019年1月度については、地震の影響が残っているがその影響は緩和しつつあるとして景気判断を「据え置き」としていましたが、2月度においては3ヶ月ぶりの上方修正となりました。
ふっこう割の効果などで観光業が回復
今回、道内景気判断を上方修正したきっかけとしては、2018年10月16日の記事で紹介したとおり、宿泊費を割り引く「ふっこう割」など、自治体や企業が観光客を呼び込むための施策が相次いで投入されたことで、来道客数が回復したことにあります。外国人観光客も増加傾向にあるとしており、地震前の水準まで回復してきているとしています。
また、小売業についても2018年10月23日の記事で紹介したとおり、地震発生後は売上高が10%程度落ち込みなどが見られましたが、個人消費については、現状として弱さが見られる部分があるとしていますが、百貨店での高額商品の売れ行きが伸びている他、ドラッグストアやコンビニエンスストアの売上も上昇傾向にあるとしています。
製造業の生産活動も好調で判断
電気機器や機械、自動車関連など製造業における生産活動についても好調で推移しているとしています。輸送機械や鉄鋼の生産水準は高いとしているものの、地震発生後一部の企業で道外で生産拠点を移す動きが見られたとしています。
現時点において生産活動は好調で推移するものの、米中貿易摩擦など外的要因における懸念も根強いのも現状です。実際に、上場している製造業において2018年3月期の決算において下方修正する企業も目立つなど、道内に生産拠点を設けている企業も多いことも考えると、今後の状況次第では生産活動に何かしらの影響が見られることも予想されます。
ただし、依然として人手不足の状況が続いていおり、賃金を引き上げる企業も増えている状況で、外的要因における生産活動の足踏み状況による雇用への影響は限られ、今後も人手不足により賃金引き上げの動きや従業員を呼び込む動きは活発化していきそうです。