防雪柵大手の理研興業(北海道小樽市)は、発光機能を持たせたワイヤーロープを開発しています。このワイヤーロープは中央分離帯や道路との境界部分に活用するもので、発光機能をもたせることで冬期の暴風雪時でも道路の境界を示すことが可能になります。
これから冬になり降雪量も多くなることが予想される中、視界の悪さなどから発生する交通事故の減少に寄与することが期待できそうです。
発光ダイオード(LED)を組み込んだワイヤーロープを開発
理研興業は、樹脂メーカーのフクビ化学興業と組んで、発光ダイオード(LED)を組み込んだワイヤーロープを開発しました。
LEDの光がワイヤーに伝達する「導光樹脂線」と、理研興業の特許技術である「理研スピンドル」を活用することでワイヤーロープに巻きつけて利用します。ワイヤーロープが光ることで、暴風雪時や夜間でも中央分離帯や道路との境界がわかるようになります。
同社は、これまで防雪柵を主力事業として取り組んでいましたが、発光機能を持たせたワイヤーロープは、防雪柵に継ぐ収益源として育てていきたいとしています。
道内や東北の高速道路4箇所で年内に試験導入
今回開発した発光機能を持たせたワイヤーロープでは、道内の他、東北地方において、冬期に降雪量が多い地域における高速道路4箇所で年内にも試験導入を進める方針です。
また、国土交通省では中央分離帯に設置する境界物として円柱形ポールからワイヤーロープに切り替えを推奨していることから、同社では、この切り替え推奨により、今後増えるであろう需要増に対応していくものと考えられます。
また、同製品は雪国だけではなく、東南アジア地域での輸出も検討しており、経済成長で自動車量が増えるなか道路のインフラ整備が追いついておらず街路灯が少ないといった課題があります。これらの課題を解決して交通安全を高めていくためにも今回のワイヤーロープ
暴風雪時のホワイトアウトによる事故減少を目指す
道内や東北地方では冬期になると暴風雪により視界が真っ白となる「ホワイトアウト」減少が度々生じ、自動車の運転に支障が生じることもしばしばあります。
ホワイトアウト状態で無理に自動車を運転することで事故につながる事例も多く、雪国での事故要因の多くを占めていると言われています。
同社が開発した発光機能を持たせたワイヤーロープは、ホワイトアウト時でも安全な運転をサポートし、交通事故の減少に寄与できることに期待できそうです。