コープさっぽろでは、「コープさっぽろ大学生育英奨学金制度」を設立し、2017年4月より、同社の店舗などでアルバイトとして労働に従事することを条件に、学生に学資金を支援します。
返済不要の給付型で最長4年間で100万円支給
同制度を利用する条件としては、短大、大学院を含む大学に進学予定の方または高等専門学校の4・5年で就学している方を対象としています。
制度を利用するにあたり、2017年度の給付開始は、2017年1月11日より受け付けを開始します。応募締切は在学生は2017年3月31日、大学入学予定者の場合は2017年2月28日の締切です。
応募後は、コープさっぽろ側で審査を行い、審査に通過した場合のみ同制度が利用できます。給付額は年額最大25万円までで最長4年間100万円を上限としています。こちらは、完全給付型の奨学金で、大学卒業後の返済の義務が発生しません。給付方法は年ごとに一括給付となっています。
大学卒業後の奨学金返済が困難になるケースが増加
コープさっぽろが、給付型の奨学金の支給に乗り出す背景としては、近年、大学卒業後に奨学金の返済が困難になるケースが増えていることにあります。
景気が低迷するなどで就職難により大学卒業後に就職先が見つからないケースや、就職出来た場合でも様々な要因によりすぐに止めてしまい、非正規労働を余儀なくされるなど、不安定な雇用状況から、奨学金の返済が厳しくなり滞納も増えているのが現状です。
また、大学の授業料の高騰や家計収入の減少により、奨学金に頼らざる得ない状況や生活費を稼ぐためにアルバイトをしなければならない状況になるなど、在学中の生活環境も厳しいものになっています。
日本経済新聞2014年4月22日付の電子版の記事によると「2012年度の奨学金貸与者数は約131万人で、10年間で1.5倍に増加。一方、延滞者も同年度末に約33万人、延滞額は924億円に上り、返済を巡る問題は深刻化している。」としており、奨学金需要は増える一方で、返済ができず、返済資金による供給が困難になっていることがわかります。
奨学金の給付制度や返済支援などに乗り出す企業が増加
奨学金に関連した問題が多く取り上げられる中、今回のコープさっぽろの事例同様に奨学金給付制度を設ける企業や地方自治体、既に借り入れをしている奨学金の返済を支援する制度なども増えています。
近年では首都圏一極集中などにより、地方から若者が流出する中で地方自治体では、地元で農林漁業に従事することや県内の製造業など人手不足の業種を中心に、特定の業種に就業すると返済を肩代わりする制度を導入し地元への定住への取り組みを行っています。例えば、山形県では県内の高校卒業予定者に対し、大学卒業後6ヶ月以内に県内の事業者に就職すると就労4年目より返済を助成する制度を設けました。
また、低価格のメガネチェーン「オンデーズ」は、2014年末に「奨学金返金救済制度」を設け、奨学金の返済を行っている従業員に対して、毎月の給料に奨学金の返済額を上乗せをした形で支給をしています。