札幌市と函館市は市内の宿泊施設を利用する観光客などから宿泊税を導入することを検討していることを明らかにしています。近年では外国人観光客の増加により観光インフラの整備が追いつかない状況となっているなど課題も浮き彫りとなっている中で、宿泊税を導入することで観光インフラの整備を加速させたい考えです。
宿泊税の導入で観光インフラの整備加速
札幌市と函館市が市内で宿泊する利用客に対して宿泊税を導入する背景しては、観光インフラの整備を進めていきたい狙いがあります。
これまでは市の予算において観光インフラの整備を進めていましたが、外国人観光客の増加などで、さらなる整備が求められている現状があります。ただ、予算においても限りがあることから、観光インフラの整備が追いつかない課題が浮き彫りとなっています。
そのため、宿泊施設の利用者より宿泊税を導入することで、自治体の予算に加え、徴収した税金を活用して観光インフラの整備を加速くさせていく狙いがあります。
多言語での案内や説明、WiFi、施設の改修などの費用に活用
徴収した宿泊税の使いみちとして観光インフラの整備が主になりますが、具体的には多言語での案内表示や説明、狭域無線通信であるWiFi、お手洗いや観光施設など既存施設の改修などが挙げられます。
特に、多言語表示については、国内では多くの自治体において日本語がメインとなっているなど、外国人にとって決してわかりやすいと言えない事例は多くあります。
現状としては、外国語が少しでも理解できる方に翻訳をお願いする、インターネットの翻訳ソフトを使って案内を簡易的に作成するなどして対応している自治体もありますが、翻訳間違いや表現間違えで外国人観光客を困惑させる例も増えています。
国内では東京都や大阪府が導入済み。道内では11月より倶知安町が開始
宿泊税については、国内においてはすでに東京都や大阪府が導入済みです。道内においても倶知安町が2019年11月より導入を表明するなど、多くの自治体で導入が進んでいます。
東京都の場合は、1人1泊あたりの金額で税率が変わります。宿泊費が1万円以上1万5,000円未満であれば税率は100円、1万5,000円以上であれば200円となります。ただし、1泊あたりの宿泊費が1万円未満の場合は、宿泊費は課税されません。
宿泊費の支払いについては、旅行客が宿泊施設に料金を支払う際に合算して徴収し、後日宿泊施設側で徴収した宿泊税を都に申告して収めます。