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日本製紙北海道工場が大規模設備投資を計画2016.03.31(木)

苫小牧市、旭川市、白老町と北海道に三つの拠点を構える日本製紙北海道工場が30億円規模の大規模設備投資を計画していると報じられています。

印刷用紙の製造コスト年間約4億円の削減効果を期待

日本製紙北海道工場では、2016年度に白老事業所で約30億円の大型設備投資を計画していることを明らかにしています。印刷用紙など「平判加工紙」の製造設備増強による生産効率化や石灰焼成機械の省エネ化などを進め、年間約4億円のコスト削減効果を見込んでいます。
 
白老事業所は、1960年(昭和35年)に操業を開始し、1996年(平成8年)には当時最新鋭の大型塗工機設備を導入して、パンフレットや書籍などに使われるコート紙の生産を開始し、一般的な印刷用紙と合わせて年間約40万トンを生産しています。
 
今回の設備投資では、印刷用紙を「平判」に加工する工程を機械化するとのことであり、生産コストの低減と品質の向上が進んでいくことが期待できます。また、2015年度から製紙用石灰を焼く機械「キルン」の燃料を重油から安価なオイルコークスに転換する工事を進めており、燃料コストを半分程度に抑える方針です。
 

トレーサビリティーの向上による流通システムの改善に着手

白老事業所では、流通システムの改善にも着手しており、2016年度中に、印刷用紙の注文進捗管理と製品トレーサビリティーを向上させる新システムである「洋紙planet」を導入していく計画を立てています。
 
「洋紙planet」を導入することによって、営業担当者が紙の生産進捗状況も確認できるようになり、顧客から問い合わせがあった場合には、個々の注文ごとにきめ細かな対応が可能になります。生産ラインの進捗状況を意識しながら営業をかけられるようになるため、製造・流通の効率化につながっていきそうです。
 

海外向けの輸出が好調

紙輸出量
過去3年間の紙輸出量の推移(日本製紙連合会のデータを元に筆者作成)
 
ペーパレス化の流れもあり、国内での印刷用紙の需要は低迷していますが、海外向けの輸出は好調に推移しており、苫小牧税関を通じた輸出についても、2015年は韓国や台湾向けを中心に前年比37.7%増の約141億円を記録しました。
 
円安を背景に、日本の製紙業界の国際競争力は力強さを増していると言えます。今回の日本製紙の大規模な設備投資についても、投資額に見合うだけの収益を上げる自信がありそうです。
 
日本の新聞用紙の半分近くが北海道内でも生産しているとも言われ、白老近辺には大手製紙会社の製紙工場が集積しています。製紙産業が雇用の一定数を支える基盤産業ともなっている中で、日本製紙の設備投資計画は明るいニュースとして道内で受け止められています。

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