2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震から2019年9月6日に1年を迎えます。今回の地震はやや大型であったことから死者が44人、負傷者が780人以上出したほか、道路や河川などのインフラに大きな被害が及んだほか、道内全土が停電するブラックアウトが生じるなどインフラの増強についても課題が見えてきました。地震発生から1年を迎えて道は災害復旧の進捗状況を調査し現時点では1割程度にとどまることを明らかにしました。
道が実施した災害復旧工事の完了は11%程度
地震発生から2019年8月時点にかけて行われた災害復旧工事の進捗状況として、道で工事を実施して完了した割合として全体の11%になることを明らかにしています。
道では、道路や河川などのインフラを中心に復旧工事を進めており、道で実施する工事件数は158件に及ぶとしています。2019年9月時点で96%が着工済みとしていますが、完了割合を見るとまだまだ工事が長引いていることが伺えます。
特に被害が大きかった地域での道路陥没が広域に渡り工事が難航していることが時間を要している原因としています。道では具体的な完了件数は明確にしていないものの、大半の工事は2019年度中に完了させていく方針としています。
ブラックアウト対策も進む
地震が発生した直後、道内全土が停電となったブラックアウト現象も発生し、国内では初めての経験であったことから、道民の生活や企業の事業活動に大きな影響を与えてしまう事態にもつながってしまいました。
道内最大の発電所である苫東厚真火力発電所に大きく依存していたことに加え、地震による緊急停止で電力が供給できなくなったこと、さらに、東部と西部を結ぶ送電線の故障、水力発電の緊急停止など、1回の地震で同時に停止や故障が相次いだことから、ブラックアウト現象が生じたとしています。
北海道電力では、今回の教訓を活かし電力インフラの多角化を進めていく方針を明らかにしました。第一弾として石狩湾新港に液化天然ガスの火力発電所を建設している他、洋上風力発電所の建設を計画しています。
また、北海道と本州をつなぐ送電線である北本連系線についても、地震当日にバックアップとして機能しなかった反省も活かし、送電できる容量を従来の60万キロワットから90万キロワットへと増強しています。
さらに、停電時の顧客からの問い合わせも対応できるよう、東北電力や東京電力、中部電力と提携し、本州に顧客対応窓口を設置するなど道内で顧客窓口が機能しなくなった場合にも対応できるよう整備を進めています。
民間企業でもBCP対策などが進む
民間企業においても、自然災害などに備えた対策もすすめる企業も目立っています。国際標準化機構(ISO)が定めた事業継続マネジメントシステム(BCP)を策定し、自然災害や緊急事態に備えて事業への影響度を文書化しまとめ、備えを実施するなど、北洋銀行など金融機関などを通じて支援が進められています。
2018年12月18日の記事で紹介していますが、道内企業においてはBCPを策定していた企業は地震前は16社にとどまっていましたが、地震が発生してからは29社への増え、今後も更に件数としては増えていきそうです。