函館市にIT業界を中心に企業進出が相次いでいます。函館市への企業進出数はここ3年間で15社に増えており、2016年3月に北海道新幹線が開通するなど、首都圏からの交通アクセスも格段に向上したことや高等教育機関が集積していることから研究開発に有利なことや優秀な人材が確保しやすいと行ったことが背景としてあります。
北海道新幹線開業が企業進出を後押し
2017年4月27日付の日本経済新聞電子版の記事では「函館市によると企業進出数は2007年度から13年度までは年間0~2社だったのに対し、その後17年度(17年度は4月時点)までの約3年間は年2~6社に増えた。」としており、北海道新幹線の開通によって交通アクセスが格段に向上したことも、企業進出を後押ししたと言えます。
2017年3月31日に記載した記事では、北海道新幹線が開業したことによる経済効果について記載しましたが、来道客増加による宿泊や消費によって得られた「直接効果」は116円で、一次波及効果、二次波及効果を合わせると200億円の経済効果が得られ、更に、1709人の雇用を誘発しています。
函館市は高等教育機関が集積していることも背景に
IT企業が函館市に進出する理由は、北海道新幹線が開業したことに伴う交通アクセスの向上だけではありません。函館市は、はこだて未来大学や北海道大学、北海道教育大学、函館大学、函館工業高等専門学校など高等教育機関が集積していることも背景としてあります。
IT企業は、技術を活用して人々の生産性や利便性の向上、課題解決につながるソリューションを提供するために、新たな技術開発を行う必要があります。研究開発が活発な高等教育機関と提携することで、研究開発を加速できることや優秀な人材を確保しやすいと行ったメリットがあります。
2017年1月24日の記事で紹介した、はこだて未来大学発のベンチャー企業である「株式会社未来シェア」などが配車サービスの提供に向けたシステム開発を進めているなど、次世代の技術開発に積極的な取り組みを行っています。
東京都八王子市に本社がある検査機器メーカー「ミラック光学」は、函館市にAI開発拠点「AIはやぶさ」を設立し、こだて未来大学と提携して工場で使用する検査機器に同AI技術を融合させた機器の開発を進める方針です。
コールセンター大手のトランスコスモスは、函館市に子会社のウェブ制作会社「トランスコスモスDMI」の研究開発拠点を設け、従業員10人規模でスタートし2年後には50人程度に増やすとしています。また、アルバイトとしてはこだて未来大学の学生を3名採用したとしています。
函館市の雇用増加に加え、人口減を食い止め地域経済活性化に期待
IT企業進出が今後も加速することで、雇用の増加につながることや、仕事のために居住者が増えることから人口減少の食い止めにも期待できます。
函館市は2017年3月末時点では26万3706人ですが、毎年3000人程度人口が減少しているとしており、函館市では人口減少を食い止めるため、企業進出を後押しし人口減少を食い止めたいとしています。北海道新幹線が開業したことで、アクセス向上したことでビジネスエリアが拡大していることから、市ではこの効果をもっとアピールしていく方針です。
さらに、雇用増加や人口を一定に確保できれば、消費をさらに押し上げることにもつながり、地域経済全体の活性化につながることに期待できるといえます。