北海道はカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を見送ることを鈴木直道道知事が表明しました。同経済の成長牽引としても注目されていた統合型リゾート(IR)ですが、今回の背景として自然環境保護を優先させる方針であるとしています。
現在全国で8地域が候補として名乗りあげていますが、今回の北海道の見送りで全国では初めてとなります。
統合型リゾート(IR)とは
統合型リゾート(IR)とは、国際規模のホテルや会議場、コンベンション施設、飲食店、ショッピング施設などを揃えた複合施設のことです。
国内ではカジノを中心に取り上げられることが多いですが、カジノは統合型リゾートの娯楽施設という位置づけとなり、カジノを含む、国際的な施設となります。そのため、統合型リゾート(IR)の開発をにあたり、国内では現在禁止されているカジノを解禁するという動きが出ているわけです。
統合型リゾート(IR)は、シンガポールやマカオなど都市国家を中心に開発が行われていますが、世界規模で人々が訪れるようになるため、観光やビジネスなど経済が活性化することが期待されています。
現在、日本国内でも新たな経済活性化の起爆剤として統合型リゾート(IR)の検討が進められており、北海道では苫小牧市を候補地として上げていました。
北海道苫小牧市の他、全国8地域が候補として名乗り
マカオのカジノ娯楽施設
国が進めている統合型リゾート(IR)において、IR実施法では国内で3箇所まで設置することができるとしています。今回撤退を表明した北海道苫小牧市を含め、大阪市、横浜市、和歌山県、長崎県が誘致を表明している他、東京都と名古屋市、千葉市で国が意向調査に認定申請を予定もしくは検討を行っています。
国は自治体からの申請期間を2021年1月から7月までとしており、誘致を目指す自治体は、IR事業者と共に開発計画を策定を行い、国に対してプレゼンを行い、最終的に国が認定を申請するという流れとなります。
北海道苫小牧市は自然環境保護を優先し誘致を見送り
今回統合型リゾート(IR)の撤退を表明した北海道ですが、自然環境や希少生物への影響を懸念して誘致を見送る方針としています。
今回の統合型リゾート(IR)開発にあたって苫小牧市では、自然環境や希少生物への影響調査を行っており、環境影響評価(環境アセスメント)に時間を要しており、国への申請期間である2021年の1月から7月までの間まで間に合わない可能性が浮上しました。
また、道内からも誘致によって住環境などへの影響を懸念する声も多く寄せられており、今回の誘致を見送る方針としました。
元々、苫小牧市を選んだ理由としては、新千歳空港から近いことや用地の確保がしやすいなどがありました。投資額としては2800億円から3800億円としており、米国の有力事業者が開発に名乗りを上げていたほか、森トラストも開発への参入を表明していました。一方で、森トラストについては、苫小牧市内で独自にリゾート開発を行うとしており、見送りにより開発計画は変更しないとしています。
今回、残念ながら統合型リゾート(IR)誘致は見送りとなりましたが、既存で保有している観光資源を生かして地域活性化につなげていく施策が求められていきそうです。