鉄道貨物輸送を手掛けるJR貨物は、大和ハウス工業と提携して札幌貨物ターミナル駅に、複数の企業が入居可能な大型物流施設を建設することを明らかにしています。
インターネット通販の普及などで物流施設の需要が増している状況の中、鉄道による輸送効率性を活かし、トラック輸送から環境に優しい鉄道輸送に切り替えてもらい、人手不足の解消と鉄道路線維持への貢献に期待できそうです。
2022年5月に「DPL札幌レールゲート」として稼働予定
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JR貨物と大和ハウス工業が提携して建設を行う大型物流施設は、現在の札幌貨物ターミナル駅構内に「DPL札幌レールゲート」という名称で2022年5月の稼働を目指します。建設工事は2020年6月より進められます。
延床面積は約8万7000平方メートルで、建物の構造としては、鉄筋コンクリート造で3階建てとなる予定です。
複数の企業が入居可能なマルチテナント型の物流施設となります。入居可能社数は10社程度を見込んでおり、鉄道輸送に前向きな企業を募り、賃借料をJR貨物と大和ハウス工業で受け取る形となります。
札幌貨物ターミナル駅の取扱量は全国で2番目に多い
札幌貨物ターミナル駅は、東京貨物ターミナル駅に次いで全国で2番目に貨物の取扱量が多い駅です。
2017年度における貨物取扱実績は273万8000トンに及ぶとしています。貨物の内訳としては、発送する貨物の4分の1が農作物や青果物となっており、到着する貨物は食料品や工業品、宅配便などが半数を占めるとしています。
JR貨物が経営するマルチテナント型の物流施設は、東京貨物ターミナル駅に「東京レールゲートWEST」という名称で2020年3月に開業しています。更に、2022年にWESTに次いで「東京レールゲートEAST」の計画も持ち上がっています。
物流需要の増加に伴う人手不足解消や鉄道需要喚起に貢献
JR貨物が大型物流施設の建設を加速させている背景としては、インターネット通販の普及などで物流需要が大幅に増加しており、それに伴う、トラック運転手の人手不足が課題となっていることにもあります。
また、道内においてはJR北海道の経営状況の悪化などもあり、同じJRグループとして旅客以外に貨物需要を取り込むことで、路線網の維持していくことで地域貢献をしてきたいとの思いもありそうです。
これまでは、札幌貨物ターミナル駅から、各都市にトラックで輸送していましたが、駅構内陸運各社の拠点を今回の「DPL札幌レールゲート」に入居してもらうことで、各社において倉庫までの輸送費や時間を節約が可能になる他、鉄道で各都市への輸送を切り替えることで、人手不足の解消や鉄道路線維持、地球環境への貢献に期待できそうです。