函館駅前にある、函館の代表的な百貨店である棒二森屋百貨店本館とアネックス館が老朽化のため建て替えを行う方針であることを明らかにしています。建て替えは親会社のイオンが行い、複合型施設として転換する意向を示しています。
棒二森屋百貨店は老朽化による建て替えへ
函館駅前のシンボルとして長年親しまれてきた棒二森屋百貨店本館とアネックス館は、建物の老朽化により改修を行う必要性が生じていましたが、近年では売り上げが低迷していることもあり、将来的な活用については不透明な状況が続いていました。
親会社のイオンは閉店や他社への売却も視野に入れて検討していたとしていますが、地元商業者らが営業の継続を強く希望していたこともあり、地域活性化のためにも、建物の建て替えを行い、複合施設として転換する方針を打ち出しました。
低層階には商業施設、上層部にはマンションに
函館駅前から右手に見える棒二森屋百貨店(筆者撮影)
イオンは、棒二森屋百貨店の本館とアネックス館の2棟を同時に建て替えに着手する方針です。
本館については、低層部にスーパーマーケットや各種テナント、金融機関などの公共窓口を誘致する計画です。上層部については、分譲マンションを計画しており、商と住一体となった施設にする計画です。
アネックス館については、シティーホテルなどの宿泊施設を誘致する方針です。2016年3月に北海道新幹線が函館まで開業したことから本州方面からの観光客が増加していることに加え、近年では訪日外国人観光客も増えていることから、宿泊施設の供給が急務となっていることに対応します。
また、函館駅前では2016年8月9日の記事で紹介した通り、旧WAKOデパート跡地も再開発により複合施設「キラリス函館」がオープンしています。棒二森屋百貨店の建て替えにより函館駅前の活性化がさらに期待できると言えます。
棒二森屋百貨店は1863年から続く老舗
棒二森屋百貨店は、1936年(昭和11年)に金森森屋百貨店と棒二萩野呉服店が合併して誕生した百貨店で、そのルーツは江戸時代からとなっています。
1863年(文久3年)に金森森屋洋物店として始まり1925年(大正14年)に金森森屋百貨店として営業を開始します。一方、棒二萩野呉服店は1882年(明治15年)に呉服店として創業した後、1931年(昭和6年)に百貨店規模に拡張しました。その後両者は1936年(昭和11年)に合併し棒二森屋百貨店として営業を開始します
ただし、高度経済成長期以降はモータリゼーションや、イトーヨーカドーの進出で経営が厳しくなる中、1981年(昭和56年)にダイエー傘下(現:イオン)となり現在に至っています。