北海道内に拠点を置く、企業や団体が2018年春の新卒採用を2017年度と比較して増やす計画をしている割合が42%であることを日本経済新聞社が明らかにしています。
今回の調査は、日本経済新聞社傘下の日経リサーチが行ったアンケート調査を元に、日本経済新聞社札幌支社が独自調査を行った結果を加えて行われ、62の企業や団体から回答が得られ、その内、採用を増やすと回答したのは26社となりました。
サービス・小売業など人手不足な業種が積極採用を進める
今回の調査で2018年度の新卒採用を増やすと回答した割合が高かった業種としては、小売業やサービス業など人手不足が深刻となっている業種が多く占めています。
ハンバーグチェーン「びっくりドンキー」を展開している株式会社アレフは、2018年度の春採用は40人と今年の2倍を計画しているとのことで、将来の店舗展開など事業拡大をしていくことを考慮して人を集めに確保しておきたいとしています。
小売業では、ドラッグストアを展開する企業が採用を強化しており、店舗従業員や薬剤師が不足していることに加え、訪日外国人観光客の増加などで、ドラッグストアの来客数が増えているなど人手の確保が急務になっています。札幌市に本社を置くツルハドラッグは約730人、アイン薬局を展開するアインホールディングスは510人の採用を計画しているとのことです。
観光需要の増加により観光業も採用増と賃上げを実施
北海道では、観光需要の増加により、観光関連の企業も採用を積極的に行う企業が増えています。特に、訪日外国人観光客の増加や政府が2020年まで訪日外国人数4000万人の目標を掲げていることから、ビジネスチャンスも大きい中で人員確保が重要になってきます。
野口観光グループやカラカミ観光は、今年度の実績である60人程度から更に採用するを増やす方針を掲げています。更に、野口観光グループは大卒新卒者の賃金を2万円以上、短大、高卒は6500円から1万円程度賃上げを実施する方針を明らかにしています。
金融や電力の採用数は例年並み
人手不足が深刻化するサービス業や小売業などは採用数を増やす方針である一方、金融や電力などは採用を減らす傾向にあるようです。
北海道銀行は、具体的な数は明らかにしていないものの2017年度は採用を増やしたことで例年並みにとどめています。北海道電力は、今年度の実績である211人から2018年度は165人程度に採用数を減らす方針を明らかにしています。
北海道銀行は、日銀が2016年2月に実施したマイナス金利の影響で住宅ローンの借入が増えたことで人員を増やしていましたが、マイナス金利の影響も落ち着きつつある事に加え、節税目的でアパート経営に踏み切る人が増えるなど、住宅の供給過剰が懸念される中、逆に採用数を増やすとなると人員過剰になることも懸念されます。
北海道電力については、電力自由化などの影響で競合が激化する中、経営環境が厳しくなることから業務の効率化を図ることで収益を確保していくことを優先させる方針です。