1月28日、北海道庁は、外国語が話せないタクシードライバー向けのコミュニケーションツールを作成したことを発表しました。道内を訪れる外国人観光客が増加していく中で、道内の観光客移動を支えるタクシー業界においても受け入れ体制の整備が求められています。
今回のコミュニケーションツールは、乗降時などの対応を想定した指さし式の会話シート形式になっており、外国人観光客対応に不慣れなドライバーにとっても使いやすいものに仕上がっています。
外国人観光客の受け入れ体制整備の第一歩
北海道庁が作成したコミュニケーションツールは、A4判1枚両面の構成となっており、行き先の確認から料金・時間の目安、降車時の注意までとタクシー利用で想定される会話を一通り揃えており、該当箇所を指さすことによってドライバーと乗客が最低限の意思疎通を図ることが可能になっています。
外国語を話せないドライバーにとって大きな助けになると同時に、北海道庁のホームページ上に、タクシーでの使用頻度が高い英会話集や、外国人観光客対応に関するQ&Aも合わせて公開されていることから、タクシードライバーの接客能力が向上することが期待されています。
外国人観光客にとって公共交通はハードルが高くタクシーの需要は高い
札幌の交通の拠点となっているJR札幌駅(札幌市北区:筆者撮影)
過去に観光庁が実施した外国人観光客に対するアンケート調査結果によると、旅行中に困ったこととして、公共交通の経路情報の入手、利用方法などが上位を占めました。
言葉の通じない不慣れな土地で、目的地の最寄り駅や停留所を調べて、さらに公共交通機関の経路を確認することは大変ハードルが高いことです。このような中で、目的地さえ告げれば移動が可能なタクシーの需要は大変高いと言えます。
今回のコミュニケーショーンツールによって、外国人観光客のタクシー利用が増えることで、これまで駐車場などの関係でバスツアーのルートから外れていた場所にもインバウンド需要を波及させることができる可能性が広がります。
タクシー会社側でも外国人観光客獲得に走る
北海道を訪れる外国人観光客が急増する中で、各タクシー会社でも外国人観光客獲得に向けた取組が進められています。
札幌に拠点を置く札幌MKタクシー(札幌市白石区)では、観光タクシープランを用意し、その中では英会話対応が可能なドライバーを指定することもできるようになっています。また、北海道観光振興機構でも外国語対応乗務員のリスト化を進めており、外国人観光客の受け入れ体制が着実に進みつつあります。