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新幹線開業で函館と札幌間の特急列車増便。在来線の収益増を狙う2015.09.30(水)

北海道旅客鉄道(JR北海道)は、2016年3月26日の北海道新幹線開業に合わせて、函館と札幌間の特急列車を増便することを明らかにしています。
北海道経済部観光局によれば、訪れる観光客の数は年々増加しており、2014年には国内外から700万人以上が訪れています。とりわけ、函館と札幌は人気が高いエリアとなっており、北海道新幹線の開業で旅行者が増えると予想されると同時に函館と札幌間の移動に対する需要は更に増えると予想されます。
 

函館と札幌間の特急列車の現状

現在、函館と札幌間は「スーパー北斗」の名称で1日9往復しています。函館から札幌間は約3時間で結んでおり、JR北海道が運行している特急列車の中では高い乗車率を誇ります。車両は281系もしくは283系と呼ばれる気動車が採用されています。新幹線や都内から各方面へ運行している特急列車は電気の力で動く「電車」であるのに対し、JR北海道管内では主にディーゼルエンジンを利用した気動車が大半を占めています。
 
JR北海道が所有する路線の大部分は「非電化」と呼ばれる、線路の上に架線が無い路線が大半です。電車の場合は車両の上部に設置されているパンダグラフと架線を接触させることにより電気を供給し走行していますが、気動車の場合はディーゼルエンジンを動力源としており線路さえあれば列車の走行が可能です。北海道で非電化路線が多い理由としては、雪や寒さにより架線や機器などが故障するリスクが高いことや駅と駅との距離が長く輸送密度が低いことから、電化した場合の投資額を回収できないという理由があります。
 

新幹線開業後は1日11往復へ

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北海道新幹線開業後は、1日あたりの運行本数を現在の9往復から11往復へ増やすことを明らかにしています。また、北海道新幹線開業後に函館へアクセスする際の最寄りの新幹線駅である「新函館北斗駅」を停車駅に追加し、北海道新幹線とのダイヤに合わせて同じホームで対面乗り換えが可能になり、新幹線と特急列車への乗り換えがスムーズに行えるように検討されています。
 
更に、函館駅と新函館北斗駅間を電化した上で、新幹線へのアクセス列車として「はこだてライナー」を運行することも発表しています。車両は現在新千歳空港から札幌近郊を結んでいる「快速エアポート」と同系である733系1000番台が充当されます。特急列車の運行と合わせ、函館駅から新函館北斗駅間を17分で結び北海道新幹線から函館市内へのアクセス向上が期待されるほか、観光客やビジネス客の利用がさらに増えることが予想されます。
 

新幹線開業を機に在来線の収益性を改善を目指す

JR北海道の財政状況は大変厳しい状況であります。自家用車の普及や道北、道東を中心に高齢化や人口減少が続いていることを理由に収益を圧迫させている状況です。しかしながら、今回、北海道新幹線が開業に伴って、JR北海道は新幹線と在来線の接続利便性を向上させることは、利用者の乗り換え負担を軽減するとともに、今まで鉄道では大変時間がかかっていた北海道と本州への移動が高速化による利用客を鉄道へシフトさせるべく在来線の収支を改善する大きなチャンスと言えそうです。
 

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