2016年12月4日、JR留萌本線の終着駅であるJR増毛駅が、1921年(大正10年)の開業以来95年の歴史に幕をおろしました。今回、北海道旅客鉄道(JR北海道)が、廃止対象区間として指定していたJR留萌本線の増毛駅から留萌駅間の16.7キロが廃止となることから、全国各地から鉄道ファンらが集まり最終電車を見送りました。
映画「駅 STATION」の舞台となった増毛駅でお別れセレモニーを開催
JR増毛駅では、4日の最終運行日にお別れセレモニーを開催しました。同駅は映画「駅 STATION」の舞台となった駅であることから、鉄道ファンに人気が高く、当日は約600人と多くの見送り客で賑わいました。
お別れセレモニーには、JR北海道の島田修社長が参加し、最終列車を運行する運転手と留萌駅長に花束の贈呈を行いました。また、地元のブラスバンド部による「蛍の光」の演奏を行い、地元住民らがペンライトを用いて最終列車の出発を見送りました。
最終列車は、約300人と満員の状態で乗客を乗せ、定刻の20分遅れの午後8時10分に増毛駅を出発しました。その後、留萌市内で走行中に鹿と衝突するアクシデントが発生したものの、午後9時54分に函館本線の深川駅に無事到着しました。
増毛町は相乗りタクシーを運行し廃線の代替交通手段を確保
増毛町は、増毛駅から留萌駅間の廃止を受けて、予約制の相乗りタクシーの運行を始めることを明らかにしています。
JR北海道からの支援金として受け取った5千万円を使用して小鳩交通(北海道旭川市)の留萌営業所に委託を行い、路線バスである沿岸バス(北海道羽幌町)の運行時間以外の早朝と夜間に運行を行う予定です。
相乗りタクシーの運行は、留萌駅から深川駅間の列車との接続性を考え、早朝は旧増毛駅を6時10分発で夜間は留萌駅前を午後9時15分発となります。料金は中学生以上で片道400円に設定する方針です。
JR北海道は全区間の赤字額が拡大し厳しい状況
日本経済新聞が5日に報道した記事によると、当初廃止対象として発表していた、札沼線の北海道医療大学駅から新十津川駅(47.6キロメートル)、根室線の富良野駅から新得駅(81.7キロメートル)、留萌線の深川駅から留萌駅(50.1キロメートル)の全区間の営業赤字は20億円で2014年度と比べて8%増加しています。
また、輸送密度が500人以上の路線においても営業赤字が拡大しており、宗谷本線の旭川駅から名寄駅は修繕費が増加したなどの理由もあり、21億円の赤字となり前年比10%増加しました。加えて、函館本線の長万部駅から小樽駅も赤字額が21億円で前年比5%増加しています。
今回路線別の収支状況を明らかにしたことで、JR北海道の全区間が赤字幅が拡大し、2014年度に比べ3%増の413億円になりました。同社では合わせて、2016年4月から9月来の連結決算を発表し、売上高は前年同期比1%増の857億円で、経常利益は20億円と86%の減少となりました。
北海道新幹線が36億円の増収となり売上高増加に寄与しましたが、夏期の天候不順による台風被害などによる列車運休で13億円の減収となりました。
JR北海道は選択と集中を進め、収益改善を進めますが鉄道事業単体では道のりが大変険しい状況であります。北海道新幹線をテコに本州からの旅客を流入させる他、2016年8月13日の記事で記載したように観光列車など付加価値のあるサービスの提供や事業の多角化を進めていく必要があるといえるでしょう。