HOME > > 留萌本線に廃線の動きが。観光客に頼らざるをえない北海道の交通事情
留萌本線に廃線の動きが。観光客に頼らざるをえない北海道の交通事情2015.06.29(月)

JR北海道が利用者の少ない留萌線の廃止を検討するとして、同社はすでに沿線自治体に打診を始めていることが今月27日にわかりました。

同社の経営悪化と乗客減少、さらに大きな運用コストがかかる新幹線開通の影響を受け、同社は不採算路線の対策を推し進めています。

 沿線の秩父別町によると、5月下旬に町を訪れたJR北海道幹部が「留萌線は経営が厳しく、廃止も視野に入れて検討しないといけない」と担当者に伝えた。JR北海道によると、ほかの沿線自治体にも今後の路線のあり方について相談を始めたという。

留萌線は深川市と増毛(ましけ)町を結ぶ全長66・8キロで、秩父別、沼田両町と留萌市を通る。平成26年度の1キロ当たりの1日平均利用者数は142人と道内で3番目に少なかった。JR北海道は「地元住民に現状を理解してもらった上で、地域にとって利便性の高い交通サービスが何かを検討していきたい」としている。

(出典:産経ニュース

道内で再び配線の危機をおいやられつつある線路として浮上しはじめた留萌~増毛間の線路ですが、その線路の中身は一体どんなものなのでしょうか?

■留萌本線とは?

留萌本線とは、深川~増毛間を結ぶために作られた鉄道路線です。
深川駅から留萌駅、そして増毛駅を結ぶ北海道JRの一つであり、地方交通の一つでもあります。
駅数は全部で20駅。全列車はワンマンとなっており、深川から留萌、増毛までの景観を楽しみながらゆったりと観光が楽しめる。

■増毛ノロッコ号

800px-JR_hokkaido_Mashike_norokko_train留萌本線といえば、ゴールデンウィーク中に運行されるトロッコ列車は観光客にも人気があります。
トロッコ列車とは、車体の上部が解放されている列車のことで、もともともは土砂、採石、木材などを運搬する貨物列車のことでした。これを旅客用に改造したノロッコ号は景観を楽しみながら旅を楽しめることから、観光客の増加するゴールデンウィークの間限定で運行しています。

■悪化した運行状況

rumoihonsen2留萌本線の輸送密度(1日1キロメートルの平均輸送人数)は、1987年当初で435人となっていたのに対して、それから次第にその密度を落として行くことになり、2014年の輸送密度がなんと142人と、3分の1以下まで輸送密度が下がってしまいました。

これに最も大きく影響しているのは地方の過疎化と幹線道路の敷設といわれています。
また、自動車の普及率があがり、車で移動する人間が増えた事も大きく影響しているかもしれません。

■留萌方面の観光は?

人口の減少は年々進んでいるのに対し、実は増毛、留萌の観光客の人数は特に大きな変動はなく、ここ数年はほぼ一定数を保っています。

これには日本人だけではなく、海外からの旅行客の流入数が一定してきていることが大きく関係しているでしょう。北海道内の人口にくらべて観光客数が安定しているというのは、道内の人々の努力が大変見てとれますね。

しかし、交通アクセスの良さといのは、こうして古い線路を廃線においこむ結果を招いてしまうのは事実です。幹線道路が出来たことから、安くて便利なバス移動客が増えていること。また、観光客の移動ルートとしては深川~留萌というルートはほとんど利用されないことも問題かもしれません。

また、JR北海道の経営も順調とはいえませんし、今後は新幹線の開通もあってさらに経営をスリム化しなければならないという事もあるでしょう。

しかし、いまだこの路線を愛用している若者や高齢者も多いのも事実です。車に乗れない人間にとって、やはり列車の存在は大きいでしょうから、他の交通インフラを整えることが課題となってくるのは間違いありません。
また、長年この路線を使用してきた人にとっては、廃線はさびしい限りでしょう。
今後の動向に注目したいと思います。

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