ピーチアビエーション(大阪府泉佐野市)は、2018年を目処に新千歳空港をハブに道内の新規路線開設を検討していることが明らかになりました。
道内交通は鉄道やバスが多く利用されていましたが、格安航空会社(LCC)のピーチが道内路線を開設することで、道内交通の有り方が大きく変わる可能性がありそうです。
新千歳空港を拠点に道内路線へ参入
関西国際空港に到着したピーチの機体(大阪府泉佐野市:筆者撮影)
2016年10月現在では、具体的な路線などは明らかになっていませんが、既に、ピーチでは、東京(成田)~新千歳、関西~新千歳を結ぶ路線を運行していますが、道内路線を開設することで本州方面から乗り継いで道内の各地にアクセスしやすくなります。
新千歳空港を拠点として活用する背景としては、2016年5月12日付の「新千歳空港が発着枠拡大。インバウンド増加を期待!」で記載した発着枠の拡大や訪日外国人の増加に加え、アジア地域を筆頭に北海道観光の需要が拡大していることが考えられます。
新拠点としての活用が実現すれば、道民の交通手段の選択肢が広がり利便性が向上する他、札幌など道央圏に集中している観光客を道内各地に分散することで、他地域の経済活性化などを後押しすることも期待できます。
さらに、運行に必要となる機材を駐機させる方針で、新千歳空港を拠点に加わることで、ピーチが保有する機材は40機程度まで増やす方針です。
鉄道との競合懸念、道内交通の再編の可能性も
JR北海道の特急車両キハ281系(北海道函館市:筆者撮影)
ピーチが新千歳空港をハブ空港として拠点化することで、道民の交通手段の選択肢が広がる反面、道内で鉄道を運行しているJR北海道との競合が激化する懸念があります。
JR北海道の経営状況は依然として厳しい状況で、2016年3月期の決算発表では、352億円の営業赤字を出しており、設備や車両の老朽化や事故や不祥事の対応など、経営上の課題を多く抱えているのが現状です。
また、不採算路線などを廃止するなど選択と集中による財務体制の強化にも努めていますが、ピーチが道内路線を開設することによる鉄道の長距離路線で競合が発生し、ピーチが低価格を武器に鉄道と同等もしくは下回る低価格運賃を設定するとなれば、今まで鉄道を利用していた方が移動時間が短いピーチに流れてしまうことも考えられます。
そのため、ピーチが道内路線を本格運用することになれば、JR北海道も路線の見直しを行わざる得ない状況になる他、路線バス事業者もピーチの就航に合わせた路線形態の構築など、道内交通の再編が進む可能性も十分にありえます。