北海道と東北の4大学が「学生起業家育成」で連携します。経営やマーケティングなどの講座や課題解決策の研究などのプログラムを提供することで起業家を育成します。
日本では、起業家数が世界に比べて低いことが指摘されており、若者が持つ豊富なアイデアを活用し起業家として活躍する人材を育てることで、中長期的な経済への活性化を後押しします。
北海道と東北の4大学が提携
北海道の「北海道大学」と「小樽商科大学」、東北の「東北大学」と「宮城大学」の4大学が提携して、学生起業家育成に取り組みます。
今回の提携で、経営学やマーケティングといった起業に必要となる講座を開く他、社会や事業活動における問題点の解決策を学生がチームを組んで研究を行います。
4大学の提携は、文部科学省が2017年に始めた大学等の研究開発成果を基にしたベンチャー創業や新事業の創出を目的に開かれるプログラム「次世代アントレプレナー育成事業(EDGE―NEXT)」に選ばれており、補助金が5000万円支給されます。この補助金を手元資金に、学生起業家育成を行います。
日本の学生起業家数が多いのは慶応義塾大学
学生起業意識推移(中小企業庁のデータを基に筆者作成)
日本国内でも在学中の起業もしくは起業への意識が高まっています。総務省が実施した「就業構造基本調査」のデータによると、調査開始時点での在学中の起業希望者の割合は2.9%だったのに対し、1997年には3.8%、2007年には5.3%、2012年は4.2%となっています。
リーマンショック前の2007年より若干起業者の割合は減少傾向にありますが、全体としては起業への意識は穏やかに上昇しており、今後は大学ぐるみで起業家育成などのプログラムの展開が不可欠となります。
ちなみに、ディップが2017年5月23日に調査を行った結果によると、日本の大学で在学中に起業した数が多い大学のランキングは、1位が慶應義塾大学の16社、2位が東京大学で14社、3位が早稲田大学の9社となっています。
日本人の7割が起業に興味なし
近年ではインターネットの発達で、大きな設備投資が必要なくても知識があれば誰でも起業しやすい環境にはなりつつありますが、日本人の多くが起業には興味がない実態が浮き彫りとなっています。
総合人材サービスのランスタッドが2017年5月11日に発表した世界の起業意識調査の結果によると、日本の労働者の68.7%の人が「起業したいとは思わない」という結果になっています。
日本では、「長いものには巻かれろ」という風潮が強いことや教育現場においても、組織で働くことを前提とした教育を行っていることなどから、日本人が起業への意識が低い理由として考えられます。また、政府の施策や企業の支援なども充実しているとはいえず、起業が難しい環境も起因していると言えそうです。
日本は、人口減少に加え、グローバル規模での経済競争が加速する中、起業家を創出して革新的な技術やサービスを創出する取り組みが必要です。