北海道は、2014年から2015年間における観光関連の消費額の調査結果「第6回北海道観光産業経済効果調査」を公表しました。調査データによると、観光関連の消費額は1.4兆円となり、2009年から2010年間における観光関連の消費額1.2兆円より10%上回り過去最高を記録しました。
訪日外国人観光客が道内観光消費を牽引
今回、道内における観光関連の消費額が増えた背景としては訪日外国人観光客が増えたことにあります。2014年度に北海道を訪れた訪日外国人数は、北海道が公開した「北海道観光入込客数調査報告書」のデータによると154万人で、2015年は208万人となり過去最高を記録しています。
2014年度はアベノミクスによる景気政策により、為替がドルベースで円安に推移したことや訪日外国人観光客数を取り込むことで地域経済を活性化する取り組みが進んだことなどから、日本全体において訪日外国人観光客数が大幅に増加しています。観光庁によるとアベノミクス前の2012年度は835万人だったのに対し、2017年度は1000万人を超えたとしています。
観光消費額推移(道の調査データを元に筆者作成)
観光関連の消費額を「道民」と道以外からの「来道者」、「外国人観光客」に区分けして見ると、道民による観光消費額は6374億円、来道者による消費額は4220億円、外国人観光客による消費額は3705億円となっています。
2009年から2010年の間における観光関連消費額である1.2兆円の内、外国人観光客による消費額は855億円より4倍超を超えており、消費額の押し上げに寄与した形となりました。
来道者における消費額は減少傾向に
外国人観光客が増えたことで、道内における観光関連消費を盛り上げている状況ではありますが、日本国内に在住している道以外からの来道者における観光関連消費額が減少傾向にあります。
2004年から2005年の調査においては、来道者における消費額は5280億円となっていましたが、これをピークに減少に向かい、2009年か2010年は4898億円、今回の調査では4220億円となりました。
消費支出推移(総務省のデータを元に筆者作成)
これは、2014年4月に実施した消費税増税を実施したことで消費支出の減少につながったことに関連していると考えられます。総務省が発表したデータによると、国内の二人以上世帯の消費支出は2014年3月の7.2%をピークに2015年3月時点で-10.6%に減少しており、外食や旅行、交際費の支出が減ったとしています。
観光関連消費項目は交通費と土産代が多くを占める
観光関連の消費項目として、道民と外国人観光客では「交通費」と「土産代」が高く、来道者は「宿泊費」の比率が高い結果となっています。
観光関連消費項目(道の調査データを元に筆者作成)
道民における観光関連消費項目は、交通費が1単価あたり3725円で構成比率が28%、宿泊費が2518円で14%、飲食費が1768円で15%、土産代が3691円で30%、施設入場料などその他は1163円で12%となりました。
来道者における観光関連消費項目は、交通費が16,734円で23%、宿泊費が23,721円で32%、飲食費が12,465円17%、土産代が13,829円で18%、その他の支出が6383円で9%となりました。
外国人観光客における観光関連消費項目は、交通費が62,235円で40%、宿泊費が26,335円で15%、飲食費が17,333円で10%、土産代が61,507円で35%、その他の支出が10692円で6%となりました。
道民、来道者、外国人観光客のそれぞれの一人あたりの消費額単価は12,865円、73,132円、17万8102円となっており、外国人観光客による消費が多くの割合を占めました。