2015年12月に北海道庁は「北海道高齢者居住安定確保計画」の見直し素案を発表しました。2025年には道民の3人に1人が65歳以上の高齢者となることが予想される中で、高齢者が安心して暮らし続けることができる社会の実現が求められています。今後の少子高齢化に伴い「北海道高齢者居住安定確保計画」から政府と民間企業にどの様な施策が求められているのか考えていきます。
高齢者のニーズに応じた住まいの確保が急務
施策を検討していく上で基礎情報となるデータをまとめた結果、道内の高齢者がいる世帯の持ち家に住んでいる比率は8割に達していることがわかりました。一方、高齢者が安心して暮らしてくために必要な手すりや段差解消などバリアフリー設備の設置割合については、持ち家で6割、借家で3割にとどまっています。高齢者が生活しやすい仕様の住宅が少ないのが現状です。
見直し素案では、自宅の改修や希望する地域での高齢者向け住宅の提供など、ニーズに応じた住まいをどの様に確保していくか課題としています。
サービス付き高齢者向け住宅の供給拡大を目指す
見直し素案では、高齢者のニーズに応じた住まいの確保に向けた具体的な施策として「サービス付き高齢者向け住宅の供給拡大」をあげています。
サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリー構造といった「ハード面」と見守りサービスといった「ソフト面」の双方で一定以上の基準をクリアした賃貸住宅のうち、都道府県・政令指定都市・中核市に登録されたものを指します。
平成26年度末時点で道内で13,293戸が登録されていますが、見直し素案では将来需要を予測した結果、これを平成29年度末までに18,093戸にまで供給を拡大すると目標設定しています。
サービス付き高齢者向け住宅の供給拡大に伴い、事業参入者に対して国土交通省が提示している条件を満たすと補助金が支給されます。補助金は「サービス付き高齢者向け住宅整備事業のWEBサイト」で公募可能です。締切は2016年2月29日(必着)です。
介護サービスやITなど民間企業の対応も必要不可欠
見直し素案で示された目標の達成に向けては、民間住宅会社・不動産会社側の協力が必要不可欠です。
昨年12月に閣議決定された国の補正予算案には、建設費用の一部を補助する事業が盛り込まれていますので、これもひとつの機会と考えてサービス付き高齢者向け住宅の整備に前向きに取り組んでいくことが求められます。
また、高齢者が要介護者となっても住み慣れた家や地域で長く暮らしていくためにも、介護サービス産業の位置づけが大きくなっていくことでしょう。更に、介護ロボットの普及などIT産業が持つノウハウも役に立ってくるものと予想されます。行政のみならず、民間企業側でも高齢化社会を見据えた対応を考える時期が来ています。