札幌市の丘珠空港周辺で飛行機部品の製造ビジネスの集積地として活用していく構想が動き始めています。製造業8社が飛行機部品製造の参入を目指し企業連合「札幌エアークラフトサプライヤークラブ(SACSUC)」を立ち上げました。丘珠空港の有効活用の他、地域の雇用を生み出し道の新たな産業となることに期待が高まりそうです。
企業連合「札幌エアークラフトサプライヤークラブ(SACSUC)」を立ち上げ
札幌市の北東部に位置する丘珠空港周辺を飛行機部品の製造業の拠点にし、新たな地域産業の確立と経済活性化を目的に、道内の製造業8社が企業連合を設立しました。
企業連合の名称は「札幌エアークラフトサプライヤークラブ(SACSUC)」で、精密機械製造とメッキ加工を手掛けている「札幌エレクトロプレイティング工業(札幌市)」、金属加工を手掛けている「ワールド山内」(北広島市)。精密金型の「キメラ」(室蘭市)、熱処理、機械加工を行う「永沢機械」(室蘭市)、圧延誘導機器の製造を手掛けている「寿産業」(札幌市)、金属部品の熱処理加工を行う「池田熱処理工業」(札幌市)、金属加工の「土谷製作所」(札幌市)、下水道ポンプなどを製造している「村瀬鉄工所」(函館市)」の8社が連携して企業連合を動かしていきます。
当企業連合は2019年9月より本格的に活動を開始していく予定で、まずは川崎重工業に部品を納入している山之内製作所(横浜市)よりOEMによる製造を請け負い、技術ノウハウの取得や人材交流を深めていき、OEMでの飛行機部品の受注を目指していきます。
山之内製作所の請け負いを通じて国際認証の取得を目指しメーカ直取引を目指す
SACSUCが請け負う山之内製作所は、川崎重工業の他、自動車の本田技研工業の航空子会社ホンダエアクラフトカンパニーへの飛行機部品への納入実績が多くあり、これまで10年近くの実績のノウハウを保有しています。
近年では米ボーイング製の大型旅客機「ボーイング787」のエンジン部品を川崎重工業を通じて請け負っているなど、飛行機の主要部品も数多く手掛けています。
当企業連合においては、永沢機械が三菱重工業に国産初のジェット旅客機である「スペースジェット(旧MRJ)」に部品を納入した実績がありますが、その他の企業は実績がないことから、これからの自社の事業拡大も含めて、企業連合を通じて山之内製作所から仕事を請け負うことで、将来的には各種国際認証の取得を行い、重工メーカより直接仕事を請け負っていきたいとしています。
道の新たな産業の育成や丘珠空港周辺の土地利活用を通じた地域活性化に期待
今回、飛行機部品製造の企業連合SACSUCを立ち上げによる製造業同士での連携により、飛行機部品の請け負いを通じてノウハウを積み重ねることで、飛行機部品産業は道の新たな産業として発展していくことに期待できます。
近年では、経済活動がグローバル化していることなどから人と物が国境を超えて移動することが増えているなか、同時に航空機需要も増えています。そのため、製造業が多い国内においても飛行機部品製造の需要が増えていくことも考えられます。将来的には自動車産業に次ぐ、主要な産業として発展していくことも考えられます。
また、近年では道内の空の玄関口として新千歳空港が規模を拡大しているのに対し、丘珠空港は新千歳への集約とともに航空会社の撤退などが相次ぎ、運営がますます厳しくなることが予想される中、飛行機部品製造業が事業拠点として空港や周辺の土地の利活用を通じて地域経済の活性化にも期待できるといえそうです。