JR北海道は2019年9月6日に同社が初めて開発した観光列車を公開しました。列車の名称は「山明号」と「紫水号」の2種類で、山明号は北海道の広大な大地や山林をイメージした深緑色の外装が特徴で、紫水号は紫色をベースとした外装が特徴となっています。内装には木材を多く活用することで温かみがある空間を提供します。
観光列車は、既存のディーゼル列車のキハ40形を改造して開発
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190822_KO_Sunshisuimei.pdf
JR北海道が2019年9月6日に公開した観光列車は、道内のローカル線を中心に活躍していたディーゼル列車「キハ40形」を改造して開発を行います。
キハ40形は、国鉄時代に日本全国のローカル線を中心に多く導入された列車で、電気を使って走行する電車とは異なり、ディーゼルエンジンを活用するため、線路の上に架線がなくてもレールがあれば走行することができます。特に、北海道では、土地が広いこともあり、架線が不要なディーゼル列車が近年でも主流となっています。
しかしながら、キハ40形は国鉄時代に導入された車両であることから、同社としても通常列車としての運行は縮小していく方針で、2017年7月25日の記事で紹介したとおり、JR東日本が開発した「GV-E400系」をベースとした電気式気動車「H100形」を順次導入していく計画です。
今回観光列車に活用されるキハ40形は、これまで活躍していた車両の中から状態の良い車両を山明号と紫水号にそれぞれ1両づつ充当します。
内装は木材を多く活用し温かみがある空間を演出
観光列車「山明号」と「紫水号」では、木材を多く活用することで温かみがある空間を演出しています。キハ40形の従来配置であるボックス席はそのままに、座席の背もたれ部分に木材を活用したほか、新たに脱着式のテーブルを設置し、こちらも木材を活用したものとなります。車内でのお食事もゆったりと楽しむことができます。
また、観光列車ではありますが、10月頃より定期列車としての運行も計画しており、つり革を設置しています。ただ、これまでのつり革とは異なり、木材で作られたつり革となっているのも特徴です。
窓部に設置されるロールカーテンには北海道の鳥であるシマエナガが描かれており、細かい部分においてもちょっとした楽しみと工夫が施されています。
2020年秋に既存の特急車両261系を改造した観光列車も計画
JR北海道は観光列車の第一段階としてキハ40形を改造した観光列車を導入しますが、2020年には既存の特急車両として活用している261系を改造した観光列車の導入も計画しています。
こちらは、具体的は計画は発表されていませんが、261系の5両編成を2編成用意し、北海道の花であるハマナスやラベンダーをイメージした色で塗装する計画です。
また、すでに他社の観光列車の共同運行も発表しています。2019年1月29日の記事で記載していますが、東京と神奈川県で鉄道事業を展開している東急と提携して、豪華観光列車の運行を計画しています。
同社は鉄道事業が厳しい中、北海道の広大な景色など本州では味わえない列車の旅を観光列車として付加価値を高める要素は多く、事業回復に向けた1歩を踏み出し始めたと言えそうです。