北海道は農業産出額が1兆円を超える一大農業王国であり、広大な耕地で多様な農産物が生産されているところです。近年では単に農産物を出荷するだけではなく、一手間加えて付加価値を高くしようとする生産者も目立ちます。アグリビジネスが脚光を浴びる中、北海道の生産者の動きも全国から注目されています。
北海道の農産物は海外でも人気
北海道の農産物は海外でも人気があり、高い評価を得ています。
例えば、JA帯広かわにしでは、長いもを「十勝川西長いも」とブランド化しており、アメリカや台湾にも輸出しています。
JA美瑛が運営している美瑛選果には多くの外国人観光客が訪れ、たくさんの農産物が売れています。美瑛の農産物のブランド力の高さは広く認められており、2015年8月には北洋 6 次産業化応援ファンドから美瑛ファーマーズマーケット株式会社に対して6千万円超の出資が行われました。2015年内には「びえい和牛」を使った惣菜店を東京都高円寺エリアで開業予定とのことです。
六次産業化に取り組む生産者達
収穫した農産物を食品に加工して販路を伸ばす生産者も増えています。
奥尻町では島の特産品を作るために葡萄の栽培を開始し、更に、収穫した葡萄からワインの醸造を行っています。2010年からワインの出荷を本格化しており、人気が徐々に高まりつつあるところです。
十勝で酪農を行うしんむら牧場では自社の生乳を使用して乳製品を製造しており、ミルクジャム、クロテッドクリームは北海道庁から「北のハイグレード食品」認定を受けています。2015年3月には北洋農業応援ファンドから約600万円の出資も決まりました。今後、放牧養豚にも取り組んでいく予定としています。
食品加工会社側でも道産食材の活用が進む
食品加工会社側でも道産食材の新たな魅力を発掘しようという動きが広まっています。
砂川市の有限会社ほんだ菓子司では、滝川市のさつまいも農家と連携して砂川スイーツの開発を進めており、5年間で約3000万円の売上高増を目指しています。
北斗市の有限会社末廣軒は、函館市の農家が新たに栽培を始めた「ワインベリー」を使ったスイーツの開発を進めています。北海道新幹線開業を見据えた目玉商品にすべく全力を尽くしており、今後の動きに注目です。
2015年2月には深川市の合同会社湯内農場と道銀アグリビジネスファンドの出資により北海道そば製粉株式会社が設立されました。同社は苫小牧市内で製粉工場の建設を進めており、2016年8月からの操業を目指しているとのことです。北海道はソバの生産量が全国一ですが、これまでは大規模な製粉工場が道内になかったため、製粉加工は道外の企業に頼っていました。同社の設立により、道内ソバ産業の更なる躍進が期待できます。