北海道銀行(道銀)と北洋銀行は、事業向け融資サービスとして震度6以上の地震が発生した場合において、元本部分の返済が免除可能な融資サービス「災時元本免除特約付き融資」を設定し16日より募集開始したことを明らかにしています。
昨年9月に大型の地震が発生したことで、道内でもBCP(事業継続計画)の重要性が高まる中、運転資金である資金面での不安を軽減することで事業継続を支援していくものです。
震度6以上で融資割合の100%もしくは50%が免除
道銀と北洋銀行は、日本政策投資銀行の助言を受けて、震度6以上の地震が発生した場合において被害の有無を問わず、融資割合の100%から50%の元本部分の返済を免除できます。
道銀と北洋銀行で16日より「災時元本免除特約付き融資」という名称で募集を開始し、両行とも融資サービスの内容については同一となっています。
融資額は5,000万円から10億円以内で期間は5年間
災時元本免除特約付き融資における融資額は5,000万円から10億円以内と設定され、活用用途としては運転資金の他、設備投資として活用することが可能です。
融資期間は5年間となっており、返済方法としては期日一括返済となっているのが特徴です。地震発生時に元本部分の返済が免除になるメリットがある一方で、一般的な事業向け融資に比べると期間が短く設定されていることや、一括返済などやや返済条件が厳しい特徴があります。
金利は各行が定めた利率に基づいて設定されます。
地震発生時の事業継続対策として活用できる
2018年9月19日の記事で記載しましたが、昨年2018年9月に道内で大型の地震が発生したことで、道内企業においても事業継続計画(BCP)への関心が高まっています。観光需要が伸びている時期であったことも重なり、地震発生後の観光被害額は292億円となるなど、観光産業にも大きなダメージを受けました。
今回の融資では、元本部分の返済が免除になることで、万が一大型な地震が発生した場合においても、復興資金に充当する、売上減少などを補うなど資金面の心配不要で事業継続が可能になります。
ただし、融資額が限られていることや返済期日が短い特徴がありますので、大規模な設備投資目的での融資には不向きであると言えます。あくまでも、万が一に備えて事業が継続できる最低限の設備を揃えるといった用途に活用が望ましいと言えます。
また、2019年1月8日の記事でも記載しましたが、道銀はBCP向けの融資サービスも提供しており、地震保険などと合わせて他の融資サービスも総合的に加味した上で検討すべきであると言えます。