道内の小売業の売上高が回復していきています。道内の主要百貨店の2017年度の売上高は前年度比3%の増加を記録していることから、訪日観光客による商品に加え、道内の一般消費者においても、わずかながらに消費が回復し道内でも景気回復の実感を受けます。
道内主要百貨店5社の合計売上高は1675億1100万円
2017年度の道内の主要百貨店5社の合計売上高は1675億1100万円となり、前年より3%増加しています。訪日観光客による観光消費に加え、道内に一般消費者の間でも高額商品の売れ行きがのびているとしています。
2017年度は日経平均株価が2万3,000円台に近づいており株価が約26年ぶりに回復するなど、日本経済全体の景気も回復傾向にあります。日銀によると、株価の上昇に伴っい2017年9月末時点において国内全体の家計金融資産額は1845兆円となり、前年度より4.7%増加したとしています。
従って、株価の上昇が家計の金融資産額を押し上げた効果もあり、比較的高額な商品を購入したいという需要を上手く取り込んでいることが伺えます。
大丸札幌店が売上トップ!時計売場の大改装が牽引
道内の百貨店の中で特に売上高が伸びたのは、JR札幌駅に直結している大丸札幌店で、2017年度は前年度に比べ4.7%増加となりました。2017年8月末に時計売場を大改装し、売り場面積を1.5倍にしたことが今回の業績を牽引したとしており、国内の富裕層より高級時計の需要拡大が寄与したとしています。
また、丸井今井札幌本店と三越札幌店を運営している「札幌丸井三越」の売上高は前年度より3.2%増加しており、両百貨店の仕入れを統合したことで、従業員の配置転換により接客販売員を増やしたことにより増収につなげたとしています。
東急百貨店札幌店は、学生を活用したイベントの開催などにより、売上高は前年度比1.6%増加しました。
地方の中小百貨店は振るわず
一方で、札幌圏以外の地方にある中小百貨店の売上は振るわない状況となりました。
函館市の丸井今井函館店は、前年度と比べ売上高は5.6%減少しました。帯広市の藤丸百貨店は前年度比わずか0.1%の増加となりました。
地方では訪日観光客の恩恵が受けにくい他、人口が減少していることから買い物客の減少なども影響していると考えられます。今後は、地方へ足を運んでもらう施策の他、地方ならではの特産物の取り扱いや各種観光施策とのタイアップなど、外部から売上を取り込む工夫が必要になると言えそうです。