コープさっぽろは、高齢化に伴う需要増に応えるため、札幌市白石区で配食弁当を製造している工場を拡張移転し、1億5000万円と投じて、生産能力を1.5倍に高めることを明らかにしています。
高齢者を中心に「買い物難民」など社会問題になる中、生産能力の拡大によるサービスの拡大で多くのニーズに対応します。コープさっぽろの事例を通じて今後食材の宅配サービスで求められているものとは何か考えていきます。
高齢者を中心に配食重要が年々高まっている
少子高齢化社会に伴い高齢者の人口が増加する中で、高齢者の買い物事情は厳しい状況になってきています。例えば、病気や家庭の事情でご自身での買い物が困難な方、地方においてはスーパーマーケットの撤退や、公共交通機関の廃止など、買い物に出かけることが困難な高齢者の方が増えているのが現状です。
このような厳しい買い物事情のなか、注目されているのが「配食サービス」で、ここ近年高齢者を中心に需要が高まってきています。
コープさっぽろでは、2010年より配食事業に参入し、2015年度の売上は15億円を達成し黒字化を実現しています。
配食弁当を3食に拡大と退院後の「健康管理食」などサービスを多角化
コープさっぽろでは、高齢者向けに週6回にわたり夕食を宅配するサービスと、アレルギー対応を行った「幼稚園給食サービス」、妊婦向けの「産前・産後食サービス」を手がけていますが、配食弁当工場の生産拡大に伴い、今まで夕食のみ提供していた「高齢者向け宅配サービス」を1日3食に拡大する他、病院から退院した方に特化した「健康管理食」の製造と宅配を行うことも明らかにしています。
合わせて、幼稚園向け給食サービスを手掛ける業者が少ないことから、サービス開始当初の2園から現在では70園に拡大するなど、他の食品事業者が手がけないニッチな部分をカバーすると共に、健康管理食など時代の環境変化に合わせてサービスを多角化してくことも重要になりそうです。
高齢者との交流の場と体調の変化など「見守りサービス」も重要
高齢者向けの買い物支援として、インターネットを通じた食材宅配サービスを手がけている「オイシックス」は2016年5月に移動スーパー事業を行っている「とくし丸」を子会社化し、高齢者を中心に食材などを軽トラックで販売する事業に参入しています。
オイシックスは、インターネットに特化していたことから高齢者層の取り込みに課題を抱えていましたが、今回の移動スーパーの参入で高齢者層を取り込み収益向上に努めていく方針です。
特に高齢者層にとって買い物をすることは、地域住民との交流の場としての役割も大きく、インターネットだけでは実現が難しい「移動スーパー」という形態を利用することで、買い物のニーズだけではなくコミュニティの場として提供できる側面もあります。単純にサービスだけを提供するのではなく、体調の変化など高齢者の暮らしを見守るサービスも欠かせないものになるでしょう。