旭川信用金庫は、新規事業として結婚紹介サービス「A・YELL(アエール)」を2016年11月1日より展開していくことを明らかにしました。
少子高齢化や地域人口の減少、晩婚化などで地域経済の活力低下が懸念される中、地域経済の牽引役を担う金融機関が結婚紹介サービスを行うことで、お金以外の側面から地域経済をバックアップしていく試みが増えてきています。
結婚紹介サービス「A・YELL」を本店内に展開
旭川信用金庫は、旭川市や富良野市などの営業管内に在住している男女を対象に結婚相談や結婚紹介を行う「A・YELL(アエール)」を、旭川市4条通にある本店4階に新設します。
信用金庫の職員が結婚相手を紹介し、お見合いの設定、その後の交際をサポートしていきます。結婚相談の希望者は入会金1万円を支払い、職員と初回面談を行った後に会員登録を行います。
初回のお見合いは信用金庫本店で行い、2回目以降は信用金庫以外の場所を確保していく方針です。
地域経済の低下を抑制し長期的な顧客を囲い込む
今回、旭川信用金庫が結婚紹介サービスに参入する背景としては、冒頭でも少し触れましたが、少子高齢化や地域人口の減少、晩婚化などで、結婚する人の数が減ることで、ますます人口減少が加速し地域経済の衰退につながるという懸念があります。
旭川市役所の統計データによると、旭川市の人口は、約35万人と2000年から2015までほぼ横ばいで推移していますが、年間の出生数は2000年の3000人台から約2300人と右肩下がりとなっていることから、結婚紹介サービスをテコに、結婚数を増やしていくとともに、次世代の経済を担うためにも、出生数を増やしていくことが急務となります。
また、結婚紹介サービスを通じて、単純に結婚が成約して終わりではなく、その後も住宅ローンや教育ローンなどを積極的に活用してもらうことで、金融サービスを通じて生活全面をサポートし、長期的な顧客をつなぎとめる狙いがあります。
金融機関による結婚仲介業は新規事業として参入の余地が大きい
日本では江戸時代から昭和時代にかけて、家族や親族などを通じて結婚相手を紹介するお見合い結婚が長きに渡り行われていましたが、現代では親族や家族づきあいなど人とのつながりが薄れていく中、お見合い結婚が減少し、友人などを通じた恋愛結婚が一般的となりました。しかしながら、恋愛結婚は競争率が高くなるデメリットがあり人口減などで効率的に結婚相手を探すことは困難な状況になりつつあります。
2016年9月18日付の日経MJの報道によれば、20歳台の2割が「結婚紹介サービス」など結婚に係る何かしらのサービスを利用しているとのことで、結婚を望む方にとって、民間業者が提供している結婚紹介サービスの利用は不可欠になることが予想されます。
金融機関は、地域経済のバックアップとして役割が高いことや、個人の金融データやパーソナルデータなどを保有していることから、これらのビッグデータを上手く融合させることで、理想的な結婚相手を見つけることに期待でき、結婚紹介業への金融機関の参入が増えていくことが予想されます。