札幌証券取引所(札証)に上場企業の2020年3月期第2四半期決算の発表が相次いでいます。これまで景気改善などで経営環境の改善も目立ちましたが、今年は米中貿易摩擦の影響による景気減速懸念に加え、国内では消費税率の引き上げに伴う消費活動への影響が懸念される中、増税前の駆け込み需要をうまく反映した企業が目立った一方で、人手不足による人件費上昇などによる影響が現れた決算が目立っています。
北海道中央バスが2期ぶりに黒字転換へ
北海道中央バスは、2019年11月11日に発表した2020年3月期第2四半期の連結決算において、最終損益が900万円の黒字になったことを明らかにしています。
同社が黒字転換となるのは2期ぶりで、前年における同期決算では2億円の赤字でありましたが、今期で急速に業績が回復しています。今期の売上高は183億530万円、営業利益は3億140万円となりました。
背景としては、新千歳空港の連絡バスを増便したことに加え、運賃改定を行ったこと、また、消費税増税前に定期券や乗車券を事前に購入する動きも見られたことも寄与しました。
また、観光事業も増収に寄与しており、ニセコアンヌプリ国際スキー場において、スキー客が増加したこと、小樽天狗山スキー場やニセコ温泉郷「いこいの湯宿いろは」において、5月度の大型連休などで観光客が増えたことで利用客が伸びたとしています。その他、毎月イベントを開催するなどして集客に努めたこと収益増に繋がったとしています。
ほくやく・竹山ホールディングスは63.4%増益
ヘルスケア事業を展開するほくやく・竹山ホールディングスが2019年11月6日に発表した2020年3月期第2四半期の決算発表で、純利益が12億9500万円と前年同期に比べ63.4%増加しました。
医療業界は2018年4月に診療報酬改定が行われ厳しい経営環境が予想されていますが、同社の医療機器卸売事業において消費税増税前に駆け込み需要が発生したことが今回の増益に寄与しました。
また、同社が展開しているECショップ「Bell&Orchid」において、これまで会員制で利用可能であったものを一般の顧客層にも広げることで収益力の向上に努めたとしています。さらに、今後介護需要の増加を見据えて介護ロボットを活用した体験セミナーを実施することで、介護施設への最新情報や商品情報の提供を行うなど営業活動も強化しており、引き続き引き合いが取れるよう努めているとしています。
売上高は1,235億9700万円で前年同期比7.3%増加、営業利益は13億300万円で前年同期比58.7%の増加となりました。
製造業では人手不足による人件費上昇が重荷に
製造業においては、人手不足を背景とした人件費上昇により、収益力の低下が目立つ傾向が現れました。
製パン事業を展開している日糧製パンは、2020年3月期第2四半期の決算において純利益は3,600万円となり、前年同期に比べ47.7%減少となりました。(昨年の純利益は7000万円で10.6%増加)一方で、売上高は87万7800万円と前年同期に比べ2.2%伸びています。営業利益は6,300万円で前年同期比46.7%減少しています。
人手不足により人件費が上昇していることに加え、作ったパンを輸送する際の物流費も上昇していることから、利益を押し下げる結果となったとしています。